研究課題
特別研究員奨励費
半導体ベータ鉄シリサイド(β-FeSi_2)はバンドギャップ付近の状態密度がFeの3d電子に支配されているため、ひずみとバンド構造に強い相関が存在するという特徴を有している。これまでに、第一原理計算により、ひずみがないバルク単結晶は間接遷移型半導体であるのに対し、Si基板上β-FeSi_2薄膜は、Si基板とβ-FeSi_2のヘテロ界面で生じるひずみによりバンド構造が変化し、直接遷移化する可能性が示唆されている。しかし、実験的にはSi基板上β-FeSi_2の遷移型は明らかにされておらず、ひずみによるバンド構造変化も実証されていない。本研究は、β-FeSi_2におけるひずみによるバンド構造制御を検証することを目的とし、実験および理論的視点からそのひずみ制御の実現可能性について検討したものである。本年度は、昨年度から引き続き、β-FeSi_2のバンド構造変化に影響を及ぼす要素の検討を第一原理計算により行った。昨年度までに実験的に明らかになった格子変形の値を用いて、実際の試料に即した条件で第一原理計算を行い、β-FeSi_2のバンド構造に対するひずみの効果の更なる検証を行った。その結果、a軸とb軸の伸長が直接遷移エネルギーの減少に寄与すること、また、Fe-Fe原子間距離の伸長が直接遷移エネルギーの減少に寄与する可能性を明らかにした。また、Si基板上β-FeSi_2エピタキシャル膜に対して第三元素添加によりひずみ制御を行うことを目指した。AlとGeについて、β-FeSi_2エピタキシャル膜へ添加可能なこと、また、添加により格子定数が増加することを実証でき、今後のβ-FeSi_2エピタキシャル膜ひずみ制御技術の確立に向けて重要な指針が得られた。以上の実験結果は、β-FeSi_2エピタキシャル膜のバンド構造を任意に変化させることが可能である事実を示しており、さらなる研究によりSi基板上発光源実現が可能になると考えられる。
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