研究課題
特別研究員奨励費
ナノ技術を応用した新規遺伝子導入法の探索として、先端の大きさが10μmの針を用いて細胞膜を穿孔させ、その孔を通じて細胞外に存在する遺伝子(プラスミドベクター)を細胞内へ導入するという手法を用いて、骨形成因子(BMP-2)遺伝子導入による間葉系未分化細胞から骨芽細胞への分化誘導を目的に実験を行った。まず、マウス間葉系未分化細胞株C3H10T1/2に対して、今回の手法が有効であるかをLacZ遺伝子発現ベクターを導入し、X-gal染色を行って確認したところ、陽性細胞が確認できた。次に、添加するLacZ発現ベクター濃度を変化させ、それぞれの細胞培養ディッシュ上の100個の細胞に遺伝子導入操作を行い、導入効率の高い条件について検討を行ったところ、ベクターの添加濃度が0.3mg/mlで最も効率よく遺伝子導入され、100個の遺伝子導入操作を行った細胞に対して、染色陽性を示した細胞が最大で100個みられた。続いて、ヒトBMP-2遺伝子発現プラスミドベクターを用いて、同様に遺伝子導入を行った。まず、遺伝子導入後7日目の細胞を回収し、RT-PCRを行ったところ、導入遺伝子であるヒトBMP-2のmRNAの発現が確認された。つぎに、遺伝子導入後7日目の細胞に骨芽細胞のマーカーであるアルカリホスファターゼ染色を行ったところ、染色陽性が確認された。さらに遺伝子導入後21日目の細胞を固定しVon Kossa染色を行ったところ、染色陽性が確認できカルシウムの沈着が確認できた。この結果から、極微細針を用いた遺伝子導入法は、これまで用いられてきたリポフェクションなどの試薬を用いた方法や、エレクトロポレーションなどの物理的エネルギーを用いる方法と比較して、高い導入効率を示し、この遺伝子導入法を応用して未分化細胞から骨芽細胞への分化誘導にも用いることが可能であることを示した。
すべて 2012 2011 2010
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)
Molecular Endocrinology
巻: 26 ページ: 414-422
International Journal of Cancer
巻: (in press) 号: 5
10.1002/ijc.27435
International Journal of Dentistry
巻: 148261 ページ: 1-7
10.1155/2012/148261
Life Science
巻: 89 ページ: 741-747
Asian Journal of Oral and Maxillofacial Surgery
巻: 23 ページ: 87-91
The Journal of Gene Medicine
巻: 12 ページ: 937-944
Ritish Journal of Oral and Maxillofacial Surgery
巻: in press