• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ソフト化学的手法を用いた新奇物質の探索

研究課題

研究課題/領域番号 10J00866
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 無機化学
研究機関京都大学

研究代表者

甲斐 一也  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2010 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードマンガン酸化物 / ナノシート / 溶液合成 / ワンポット合成 / 薄膜 / 有機無機ハイブリッド / 層状酸化物 / コバルト酸化物
研究概要

1.コバルト固溶系MnO2ナノシート(Mn1-xCoxO2)のワンポット合成
申請者の開発したMnO2ナノシートのワンポット合成法を拡張し、コバルト固溶系のMnO2ナノシート,(Mn1-xCox)O2のボトムアップ合成を行った.MnCl2とCoCl2の混合水溶液を出発物質として固溶系ナノシート(Mn1-xCox)O2を合成し,XRD測定とEDS組成分析によりCoの固溶限界はx0=0.20付近であることを明らかにした.Coの固溶はUV-visスペクトルの吸収端の変化や,磁性変化からも確認されている.磁性の変化と組成変化を検証すると,Coは全て三価としてMnO2層に固溶しており,また無機層の電荷密度は固溶によってほとんど影響を受けないことが明らかとなった.
2.層状有機無機複合体(n-ブチルアンモニウム/MnO2)のワンポット合成での反応過程の調査
ワンポット合成法で用いる有機塩基に直鎖アミンを用いると、室温一日で層状の有機無機複合体が形成することが分かった。申請者はn-ブチルアンモニウム/MnO2層状複合体をボトムアッププロセスにより合成し,その反応機構を検討した.層状複合体の形成はXRDとIRによって確認し,また合成過程で得られる沈殿を反応時間ごとに回収し,そのXRDパターンと,赤外吸収スペクトル(IR),および反応溶液のpHを検討することで,本ボトムアッププロセスでは(1)β-MnOOHの形成と結晶成長,(2)β-MnOOHのトポタクティック酸化によるHxMnO2・yH2Oの形成,および(3)HxMnO2・yH2O層間のH+イオンと有機塩基との酸塩基反応(イオン交換反応)という三つの過程を経て有機/無機層状複合体に至る事を明らかにした.反応の類似性から、MnO2ナノシートも同様の反応過程を経由して形成しているものと思われる。
3.MnO2ナノシート単層での電極材料への応用
単層のMnO2ナノシートとアセチレンブラック(AB)から成るコンポジット電極(MnO2/AB)の構造と擬似キャパシタとしての電気化学特性を評価した.MnO2ナノシートのコロイド溶液にABを添加撹絆する事でMnO2/ABを作成した.得られたMnO2/ABのXRDパターンはAB由来のピークとMnO2の面内反射(100,および110)のみを示し,面間反射は示さない.この結果と,ボトムアップ合成法で得られるナノシートの単層率の高さとから,AB上に吸着されたABは積層構造を形成せず,単層でAB上に吸着されていると結論した.このコンポジットの定電流充放電測定による容量はMnO2当たり400mAh/g,サイクリックボルタンメトリー(CV)による容量は739F/gと大きな値を示すことを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の目標は、(1)MnO2ナノシートのワンポット合成における反応機構解析、(2)MnO2ナノシートの電極材料への応用、(3)層状水酸化物を経由したCoO2ナノシートの合成、の3つであった。これのうち(1)と(2)については研究が完了しており、一方は論文掲載済み、他方は現在投稿中となっている。(3)については期間内に達成できなかったが、副産物的に溶液合成によってNaxCoO2が形成するという興味深い結果が得られた。

今後の研究の推進方策

この研究課題については目標は達成できたと考えている。今後は、ナノシートを中心とした電極材料の開発に注力し、特にマンガン系での容量とサイクル特性を向上するためのアプローチを模索中である。

報告書

(2件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Preparation and Formation Mechanism of a n-Butylammonium/MnO2 Layered Hybrid via a One-Pot Synthesis under Moderate Condition2012

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Kai, Yukihiro Yoshida, Yoji Kobayashi, Hiroshi Kageyama, Gunzi Saito
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Society, Dalton Transaction

      巻: 41 号: 3 ページ: 825-830

    • DOI

      10.1039/c1dt11145k

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Viscoelastic Nanocomposite Composed of Titania Nanosheets : Multiple Conductometric Sensitivities2011

    • 著者名/発表者名
      Yukihiro Yoshida, Kazuya Kai, Hiroshi Kageyama, Gunzi Saito
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Society, Dalton Transaction

      巻: 40 号: 28 ページ: 7291-7294

    • DOI

      10.1039/c1dt10686d

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shape Deformable Nanocomposite Compound of Manganese Oxide Nanosheets2011

    • 著者名/発表者名
      Yukihiro Yoshida
    • 雑誌名

      Journal of Materials Chemistry

      巻: 21 ページ: 5863-5866

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり

URL: 

公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi