研究課題
特別研究員奨励費
2つのMn^<II>-N^<IV>オクタシアノ金属錯体Mn_2[Nb(CN)_8](3-pyridinemethanol)_8・2H_2O(1)およびMn_2[Nb(CN)_8](3-aminopyridine)_8・2H_2O(2)において配位構造と磁気相転移温度の関係を明らかにした。1および2は、Mn^<II>とNb^<IV>が交互に架橋された3次元構造となっている。水分子はすべて結晶水であった。Mn^<II>とNb^<IV>それぞれについての最近接架橋金属イオンの数やMn^<II>の配位環境は2つの錯体で同じとなっているが、Nb^<IV>周りの配位構造は1がスクエアアンチプリズム、2がドデカヘドロンと異なっていた。インピーダンス測定より、各試料のσは、1が5×10^<-8>Scm^<-1>、2が4×10^<-6>Scm^<-1>であると見積もられた。2つの錯体は構造がほぼ同じであるが、磁気測定の結果から、1および2は恥がそれぞれ24K、43Kのフェリ磁性体であり、T_Cが大きく異なっていた。分子軌道計算を行い、この違いを解析した。1および2の[Nb(CN)_8]ユニットについて、DV-Xa法により分子軌道計算を行った。2つの錯体で電荷密度を比較すると、架橋シアノ基の窒素原子上の密度が大きく異なっていた。2のほうが大きな値を示しており、シアノ基のp軌道を介するNb^<IV>とMn^<II>の間の超交換相互作用がより強くなっていると考えられる。分子磁場理論より、2つの錯体はNb^<IV>周りの配位構造以外の構造はほぼ等しいので、T_Cの差は超交換相互作用に起因すると示唆された。以上の結果から、2つの錯体のT_Cの差はNb^<IV>周りの配位構造の違いから生じていると言える。
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