研究課題/領域番号 |
10J00978
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原口 岳 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 安定同位体 / 炭素放射性同位体 / 食物網解析 / 生食連鎖 / 腐食連鎖 / 食物網カップリング / 植生遷移 / 動物群集 |
研究概要 |
先行研究から、地上部の食物網において、地下部の腐食連鎖系から供給されるエサ資源が大きな割合を占めることが知られている。申請者が学振特別研究員として取り組む課題は、特に地上部で優占する捕食者としてクモに着目し、生態系への撹乱を原因として生じる植生遷移が、食物網構造の変化を通じて捕食者群集に及ぼす影響を明らかにすることである。この課題に取り組むために、今年度は同位体手法による腐食連鎖起源のエサの寄与率推定と、遷移段階に応じたクモ群集組成変化の情報を統合した研究をおこなった。 まず、主要な4摂食機能群に属するクモの^<13>C,^<15>Nの天然存在比を分析し、各調査地で採集されたクモの種ごとに、優占するエサについての寄与率を求めた値を解析した。遷移に伴う変化は、互いに近接し、伐採後の林齢が異なる温帯落葉性林間を比較することにより明らかにした。 クモ群集変化の解析では、最も大きなクモ群集組成の変化が見られた伐採後10年前後を境として、これ以前を遷移初期群集、以降を遷移後期群集と定義した。さらに、遷移初期・遷移後期群集間で個体数比率に有意な差の見られた種をそれぞれ遷移初期・遷移後期種とした。以上のようなクモ群集の変化を受けて、δ^<13>C・δ^<15>N値を用いた混合モデルに基づいて得られた主なエサのクモへの寄与率はクモ群集の変化とどのように関係していたのかを検討した。腐食連鎖起源のエサの可給性が植生遷移と共に増大し、これに伴ってそれらのエサの寄与率が増大した。加えて、遷移初期種は後期種より双翅目寄与率が低かったことから、クモの種交替の結果、双翅目選好種が優占したことが示された。解析結果から、植生遷移に伴う腐食連鎖起源のエサの増大に対してクモ群集が応答し、種組成を変化させることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究上を遂行するうえで手法的に最も重要な課題は、クモが利用する各エサ資源を定量することと、それらエサ資源が、生食・腐食連鎖のいずれに起源しているかを明らかにすることである。主要なデータである、食物連鎖起源の分離に関わる研究に関しては既に投稿論文として受理されている。また、主に個々のエサ資源の寄与率を解析した研究に関しては、解析および執筆を既に終えている。従って、今後とも着実に成果として発表する事ができるような研究結果を得ることができたと評価している。
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