研究課題/領域番号 |
10J00994
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷 友香子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 炎症の収束 / 好酸球 / 脂質メディエーター / リポキシゲナーゼ / 抗炎症 / メタボロミクス |
研究概要 |
好酸球はマクロファージ(Mφ)のCXCL13の発現を誘導する 炎症の収束にはMφによるアポトーシス細胞の貧食や抗原のクリアランスが重要と考えられている.そこで、好酸球がMφの形質に与える影響について解析した結果、好酸球の有無によってMφで発現量が変化している遺伝子を複数見出し、好酸球の12/15-LOX依存的に制御されている遺伝子としてCXCLI3を見出した. 好酸球によって誘導されるCXCL13は炎症収束作用をもつ 好酸球欠損マウスでは炎症の収束に遅延が生じるが、その作用にCXCL13が関与するかどうかを調べた結果、CXCL13に対する中和抗体を投与したマウスはコントロールマウスに比べて腹腔内に残存する好中球数が有意に多く、また、zymosanを取り込んだ炎症細胞の所属リンパ節への移行が有意に少ないことから、CXCL13が炎症の収束に促進的に働くことが示された. 好酸球が産生する脂質メディエーターがMφのCXCL13の発現を誘導する MφにおけるCXCL13の発現誘導が好酸球の12/15-LOX依存的であることから、12/15-LOXによって産生される好酸球由来の脂質メディエーターによって制御されているか検証した結果、12/15-LOX由来の脂質メディエーターLXA_4の投与によってCXCL13の発現が誘導されることを見出した. 炎症の収束期の好酸球は骨髄やアレルギー性好酸球とは異なるサブセットである 炎症収束期の好酸球がこれまでに知られている好酸球と異なるサブセットかどうかを調べるために、定常状態におけるマウス骨髄中好酸球、気管支喘息モデルマウスの気管支肺胞内好酸球、zymosan腹膜炎の炎症収束期の腹腔内好酸球を単離し、形態、表面抗原および遺伝子発現解析を行った結果、収束期の好酸球が骨髄やアレルギー性好酸球とは異なるサブセットである可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年目の予定であった炎症収束性メディエーターおよび好酸球の作用点の解析については、作用点のひとつとしてマクロファージのCXCL13を見出すことができたことに加え、新たに好酸球の性状解析についても解析を進め、質の違いを明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)炎症収束期の好酸球の性状および機能解析 炎症収束期に出現する好酸球が、これまでに知られている好酸球(アレルギーで浸潤する好酸球、寄生虫感染で浸潤する好酸球、骨髄に存在する好酸球)とは異なり、特別なsubpopulationである可能性がある。これまでに知られている好酸球として、定常状態の骨髄の好酸球およびオブアルブミンを用いたアレルギー喘息モデルにて肺に浸潤する好酸球を比較対象としてマイクロアレイ解析、形態観察、フローサイトメーターを用いて解析を行ったところ、炎症収束期の好酸球は骨髄およびアレルギー性好酸球とは質的に異なるサブセットである可能性を示した。 そこで、今後は機能的な違い、分化系統および制御機構について明らかにする。 (2)炎症収束期の好酸球の作用機序の解析 炎症収束期に出現する好酸球がマクロファージに作用することを見出したので、今後はマクロファージがどのように炎症の収束を促進しているのかについて明らかにする。
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