研究課題/領域番号 |
10J01047
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
李 謙一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 志賀毒素産生性大腸菌 / 糸状菌 / 微生物間相互作用 / ストレス抵抗性 / 分子疫学 / 集団遺伝学 / 糸状真菌 / ストレス耐性 |
研究概要 |
本研究の目的は、食品における糸状菌(カビ)の食中毒細菌への生化学および物理的影響を明らかにし、カビが食中毒発生に寄与するリスクを評価することである。 前年度までの研究で明らかとなった、チーズのスターターであるPenicillium camembertiおよびP. roquefortiの発育が志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O157の増殖および生残を促進する影響について、詳細な検討を行ない、カビが酸性下で産生する物質が、STEC O157の増殖および生残促進に関与していることを明らかにした。 また、カビの菌糸が物理的にSTEC O157の挙動に与える影響について共培養モデル系を用いて検討した。この結果、STEC O157はカビのコロニー上で増殖し、カビの菌糸に沿って広がることが明らかとなった。さらに、カビとの共培養後のSTEC O157は、カビの発育しない培地上で培養した後と比べて高い酸抵抗性を有していた。 上記の培養実験と並行して、カビの存在がSTECの起こす食中毒に及ぼす影響を評価するための基礎的研究として、57株のSTEC O157を6種類のストレス抵抗性試験(酸、熱、凍結融解、高浸透圧、酸化、飢餓)に供試し、それぞれのストレスへの抵抗性を志賀毒素遺伝子(stx)の保有状況およびLineage specific polymorphism assay 6 (LSPA6)型別による遺伝子型間で比較した。この結果、食中毒患者からの分離頻度が高いstx1・stx2保有株やLSPA6 lineage I株は、他の遺伝子型と比べて高いストレス抵抗性を有することが明らかとなった。 これらの結果から、食品中でのカビの発育は、ストレス下でのSTEC O157の挙動に促進的な影響を与え、本菌による感染症発生リスクを高める可能性が示された。
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