研究課題/領域番号 |
10J01050
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南 佑樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 相対論的流体力学 / フレーム / オンサーガーの相反関係 / 量子色力学 / QCD臨界点 / 動的臨界現象 / 動的繰り込み群 |
研究概要 |
今年度は、交付申請書に書いた通り、相対論的流体力学の基礎的な研究を行った。その結果、以下の二つの成果を得た。(1)相対論的流体力学におけるオンサーガーの相反関係相対論的流体力学には流速の定義に本質的な不定性があり、流速をエネルギー流か粒子流に選ぶ任意性があると言われている。流速をエネルギー流に選ぶ流儀をランダウフレーム、粒子流に選ぶ流儀をエッカルトフレームと呼ぶ。この2つのフレームはみかけの違いに過ぎず、どちらを選んでもいいと言われている。しかしながら、ランダウフレームはオンサーガーの相反関係を満たすが、エッカルトフレームはこの関係を破ることを示した。オンサーガーの相反関係は熱電効果で有名な関係式で、平衡状態の時間反転対称性を反映して現れる。つまり、対称性から来る関係式で、相対論的流体でも満たさなければならない。従って、フレームの違いはみかけの違いだけではない可能性を示した。(2)森の射影演算子法による相対論的線形流体方程式の導出(1)の結果、エッカルトフレームにおける時間反転対称性の破れの原因を明らかにするために、森の射影演算子法による線形の相対論的流体方程式の導出も行った。その結果、少なくとも線形流体の範囲では、流速の定義に本質的な不定性は存在せず、エッカルトフレームは極めて不自然であることを明らかにした。また、(2)で述べた時間反転対称性の破れの原因が本質的には流速に任意性が無いことの反映であることも示した。さらに、射影演算子法でもランダウ方程式とよばれる流体方程式が得られることも示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の目的にかいた通り、相対論的流体力学におけるオンサーガーの相反関係を研究した。その結果、計画通り、エネルギーフレームのほうが好ましい性質を持っていることを示した。また結果を学会などで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後としては、論文を作成し、国際会議などで発表していく予定である。
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