研究概要 |
1.パターン束モデル(Pattern Lattice Model)に基づく言語知識の構造記述とデータ解析手法の探求スクリプト言語Pythonを利用して「徹底した用法基盤モデル」の一つの体現である「パターン束モデル」を解析プログラムとして実装し、2010年度から実施している幼児の発話データ解析による統語発達プロセスの記述を新手法で実施し、発話の一つ一つに対し文法構造を付与することでより細かな発達プロセスを描出することに成功した。また、そのような分析を通して得られた知見から、徹底した用法基盤モデルを「構文理論」に応用した、「事例基盤構文理論」という理論体系を構築した。 2.1に基づく言語データの記述結果の対外発表 1の結果を、大谷直輝氏(埼玉大学)との共同で主催した、英語コーパス学会東支部課題別シンポジウム『文を超えたコーパス研究:「定量」的な分析から「文脈」重視の分析へ』にて発表した。当シンポジウムでは関連研究に従事する研究者との議論・交流を通して重要な知見を得た。 3.進捗状況と課題 (1)1によって、徹底した用法基盤モデルに基づく言語構造記述の蓄積が進展し、(2)2によってその妥当性の検証が進展していると言える。また、(3)「事例基盤構文理論」という形で一つの統合的なモデルの構築に成功しており、ある種の到達点に達していると言える。ただし、(4)未だ未実施の課題(e.g.,大規模データの処理に基づく構造記述)も少なくなく、(5)ジャーナル論文などへの投稿も未達成であるため、以降も同様の研究を継続し言語の科学への貢献を目指す。
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