研究概要 |
昨年度に引き続き,将来の有人火星飛行に有望なレーザー核融合ロケットのためにその推進システムである磁気スラストチャンバーシステムに関する実験及び数値シミュレーションを大阪大学レーザーエネルギー学研究センター(レーザー研)と共同で実施した. 実験においては,昨年8月にレーザーエネルギーが数Jオーダーの,本年1月に数kJオーダーのレーザー研実験設備にて実施した.実験では昨年度製作したパルス高電流生成装置を改良したものを用いて,磁場の有無や強弱におけるプラズマ粒子エネルギー分布(昨年実験)とプラズマ粒子密度(本年実験)を観察した.その結果,磁場によってプラズマの進行方向が偏向させられることがわかった. 数値シミュレーションにおいては,レーザー研が開発したレーザー生成プラズマの生成過程を計算する流体コード(Star codes)と,九州大学が開発した磁場中のプラズマ挙動を計算する3Dハイブリッドコードと,昨年度開発したカップリングコードを改良したものを用いて,プラズマ生成から磁場中のプラズマ挙動までの一連の統合数値シミュレーションを行い,プラズマ生成を考慮していない過去の数値シミュレーションが推力の過大評価をしていたことがわかった.そして,レーザー核融合を含むレーザー生成プラズマの物理について調査するとともに,Star codesの改良をStar codes開発者と共同で行い,codesの計算精度や計算時間の向上に貢献した. そして,今年度得られた実験結果と統合数値シミュレーションと比較することによって,磁場の有無や強弱によってレーザー生成プラズマがどのようなパラメータ依存性やスケーリング則を示すのか判明した.この研究成果については近日中にアメリカ航空宇宙学会のJournal of Propulsion and Powerに投稿予定である.
|