研究課題
特別研究員奨励費
テルペノイドインドールアルカロイドの生合成では、共通中間体が様々な様式で環化する分岐型のプロセスが多様性創出の鍵となっている。そこで{生合成を模倣した骨格改変戦略を立案し、骨格や官能基の多様性に富んだ多環性アルカロイド群を合理的に創出する2系統の合成プロセスを開発した。第一のプロセスでは、イボガ/アスピドスペルマ型アルカロイドの生合成に着目し、その共通の前駆体となるデヒドロセコジンを模倣して設計したジヒドロピリジン-ジエン中間体1を様々な様式で環化させた。前年度までに、ジヒドロピリジン-ジエン中間体1の効率的合成法を確立し、その分子内環化によりイボガ型、ヌゴウニエンシン型骨格、および8員環を有する非天然型を得られることを見出した。本年度の研究では、これら変換反応の効率化に加え、新たにアスピドスペルマ型骨格およびアンドランギニン型骨格が1の特異的活性化により構築できることを見出した。また、得られた骨格を基盤として天然物であるビンカディホルミンおよびアンドランギニンの全合成を達成した。以上より、天然物の骨格や官能基を簡略化することなくより多様化・機能化した5系統の多環性低分子の迅速合成(トリプタミンから6-8工程)に成功した。第二のプロセスでは、コンパクトな骨格内に4種類の求核サイトを内包するβ-アミノ酸型の三環性アミン2を基盤としたインドールアルカロイドアナログ群の迅速合成を行った。反応条件を制御することで2の各反応点にプロピオール酸メチルを連結した4種類のエンイン中間体を合成した。これを、近接する官能基を協同的に活性化するアプローチで分子内環化させ、5系統の4環性骨格の合成をトリプタミンから5-7工程で構築した。得られた分子群はほぼ同一の分子量を持ち、バリエーションに富んだ骨格上に類似した官能基群を提示する。これにより、官能基群の空間配向の多様性を創出できた。
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Beilstein Journal of Organic Chemistry
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