研究概要 |
本研究は,ミトコンドリアにアンチセンス核酸(RNA)を送達し,ミトコンドリア遺伝子発現を制御することを最終目標とする.当研究室では,ミトコンドリア融合性リポソーム(MITO-Porter)を開発しており,本ナノキャリアを用いてミトコンドリアにアンチセンスRNAを送達する.今年度は,(1)アンチセンスRNA封入MITO-Porterによるミトコンドリア遺伝子発現抑制評価,および(2)ミトコンドリア標的型アクティブターゲティングシステムの開発,に関する研究について報告する. (1)アンチセンスRNA封入MITO-Porterによるミトコンドリア遺伝子発現抑制評価 本研究では,アンチセンスRNAをMITO-Porterに封入し,ミトコンドリア遺伝子発現の抑制効果を検証した.標的ミトコンドリアRNA(mtRNA),およびミトコンドリア膜電位の抑制効果を評価した.その結果,MITO-Porterにより,mtRNAの抑制効果と優位な膜電位の減少を誘起した.従って,MITO-PorterはアンチセンスRNAをミトコンドリアに送達し,ミトコンドリア遺伝子を抑制することで呼吸活性を低下させることが示唆された. (2)ミトコンドリアを標的としたアクティブターゲティングシステムの開発 本研究では,ミトコンドリア移行性を有するRNAアプタマーをMITO-Porterに修飾し,その細胞内素過程を評価した.アプタマーのコレステロール誘導体をR8修飾MITO-Porterに修飾し,細胞内導入量,ミトコンドリア移行性を解析した.その結果,アプタマーの修飾により,細胞内導入量,ミトコンドリア移行性は上昇した.従って,アプタマーの修飾はMITO-Porterの生物学的利用性を向上させることが示唆された.
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