研究課題
特別研究員奨励費
量子ホール状態は抵抗標準として用いられるだけでなく、次世代の量子情報デバイス実現のプラットフォームとして期待される。しかし、量子ホール状態に閾値以上の電流を印加すると、量子ホール効果ブレークダウンが発生し、量子ホール状態は崩壊してしまう。本研究では、量子ホール効果ブレークダウンの発現機構についての知見を得る目的で、コルビノ円板型に加工した量子ホール状態にあるGaAs/AlGaAs半導体ヘテロ界面に生成する2次元電子系に大電流を流し、電流ゆらぎ測定を行った。測定に際し、測定回路を始めとした測定系の再検討を行い、温度可変インサート中、周辺温度2Kにおいて、高抵抗試料においても、約100kHzまでの電流ゆらぎ測定を行うことの出来る測定系を構築した。構築した測定系を用い、コルビノ型円板における電流ゆらぎ測定を行った。得られた電流ゆらぎからファノ因子を見積もったところ、1000を超える値が得られた。この結果は、電子が相関を持ってコルビノ型円板中を伝導していることを意味する。ファノ因子が大きくなる要因としては、雪崩的電視散乱に基づくブートストラップ機構が有力な候補である。本研究成果は、量子ホール効果ブレークダウンが電子相関に基づくことを意味しており、これは量子ホール効果ブレークダウンの発現機構を決定する上で重要な情報である。又、本成果は電流ゆらぎ測定から伝導電子の統計的情報を得た好例である。今後、電流雑音測定により高次のキュムラントの決定などが行われ、電子の伝導する系の普遍的性質の発見や、分類に繋がることが期待される。
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