研究概要 |
[プラズマ表面処理による色素増感太陽電池変案効率向上] 空気中バリア放電のTiO_2電極表面処理により、DSCの変換効率を向上させた。プラズマ処理を数分間行ったDSCは、未処理の物と比較し変換効率が最大約20%向上した。次にプラスチック基板太陽電池にも適応できる、低温焼成で作成したTiO_2電極にプラズマ処理を行いDscを作成した。プラズマ未処理の変換効率は1%以下だったのに対し、プラズマ処理を行ったDSC変換効率は約7%と、高温焼成で作成したDscと同程度の性能が得られた。この結果からバリア放電TiO_2表面処理は、高変換効率プラスチックDSCを低コストで大量生産するための有効な手段となりうることが分かった。変換効率向上の要因を解明すべく、表面組成、表面形状、親水性、吸光度、吸着色素量、比表面積の計測を行った。プラズマ処理されたDSCはプラズマ未処理の物と比較し表面組成の変化(表面酸素欠乏及び有機化合物の減少)、吸着色素量、比表面積の増加がみられた。これらの要因により、DSC短絡電流が向上し変換効率が向上したものと考えられる。 [レーザー計測を用いたプラズマの機構解明] プラズマ表面処理の際に重要となる、プラズマ中の活性種(ラジカル)計測を行った。本研究室ではこれまでにOH,O,NO,N_2(A),N等のラジカル計測を行っており、今回新たに大気圧窒素中で寿命が長いN_2(v)に注目した。大気圧パルスコロナ放電により非熱平衡プラズマを発生させ、プラズマ中に存在するN_2(v)をコヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱法(CARS)により計測した。計測結果から、放電後の窒素分子振動温度の振る舞いを解明した。
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