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発癌モデルマウスを用いたAIDによる炎症性発癌メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J02494
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 消化器内科学
研究機関京都大学

研究代表者

高井 淳  京都大学, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2010 – 2013-03-31
研究課題ステータス 採択後辞退 (2012年度)
配分額 *注記
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードAID / IL-10-/-マウス
研究概要

IL-10-/-マウスの大腸粘膜上皮細胞におけるAID発現の役割について検討するために、AIDを欠損させたAID-/-マウスとIL-10-/-マウスを交配し、ダブルノックアウトマウス(IL-10-/-AID-/-マウス)を作成した。IL-10-/-AID-/-マウスにおける腸炎像及び大腸組織における各種のサイトカイン産生量はIL-10-AID+/+マウスとほぼ同等であり、AIDはIL-10-/-マウスの腸炎の発生や持続、炎症性サイトカイン産生には影響を及ぼさないものと考えられた。
続いて、IL-10-/-マウスの大腸上皮粘膜細胞で発現するAIDによって遺伝子変異が導入されるのかを明らかにするために、IL-10-/-AID+/+マウスとIL-10-/-AID-/-マウスの大腸上皮における遺伝子変異生成頻度について比較検討した。Colitis-associated cancer(CAC)の発生に関連すると考えられている遺伝子のうち、Apc,Ctnnb1,Krasの各遺伝子の変異生成頻度には明らかな差を認めなかったが、興味深いことにIL-10-/-AID+/+マウスの大腸上皮におけるp53遺伝子には2.17bases/104と高率に変異がみられたのに対し、IL-10-/-AID-/-マウスでは0.71bases/104と有意に変異頻度が低下していた。ヒトのCAC発生過程では、早期にp53遺伝子に高率に変異が生成され、その後の段階でAPC,KRAS遺伝子に異常が生じることが報告されている。今回の解析結果は従来のヒトの報告と一致しており、AIDがp53遺伝子に変異を導入することでCACの発生に関与する可能性が示唆された。
さらに、生後約50週齢のIL-10-/-AID+/+マウスおよびIL-10-/-AID-/-マウスにおける大腸癌の発生頻度について比較検討したところ、IL-10-/-AID+/+マウスでは22匹中6匹で盲腸に浸潤性の大腸癌が認められたのに対し、IL-10-/-AID-/-マウスの盲腸には癌の発生を認めなかった。この結果より、慢性的な炎症刺激によってAIDが発現することが大腸発癌過程において重要である可能性が示唆された。
今回我々は、AIDを欠損させることにより、慢性炎症からの腸発癌がp53遺伝子変異生成頻度の低下を伴って抑制されることを動物モデルを用いて初めて明らかにした。今後、AIDによる遺伝子変異生成機序がさらに解明され、AIDをターゲットとした分子標的治療が臨床の現場にも応用されることが強く期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度の研究計画に掲げた、IL-10-/-AID-/-マウスの大腸粘膜の評価、遺伝子変異の評価、腫瘍発生頻度の評価はいずれもほぼ計画通りに達成されており、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

上記研究内容は現在投稿中であり、必要に応じて掲載に必要な追加実験を行う予定である。本研究課題の内容については大きな変更点はない。

報告書

(2件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Acquisition of genetic aberrations by activation-induced cytidine deaminase (AID) during inflammation-associated carcinogenesis2011

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Takai, Hiroyuki Marusawa, Tsutomu Chiba
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 7 号: 2 ページ: 2750-2761

    • DOI

      10.3390/cancers3022750

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of activation-induced cytidine deaminase in inflammation-associated cancer development2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Marusawa, Atsushi Takai, Tsutomu Chiba
    • 雑誌名

      Advances in Immunology

      巻: 111 ページ: 109-141

    • DOI

      10.1016/b978-0-12-385991-4.00003-9

    • ISBN
      9780123859914
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Targeting activation-induced cytidine deaminase prevents colon cancer development despite persistent colonic inflammation2011

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Takai
    • 学会等名
      第1回GI Research Academy
    • 発表場所
      ウェスティン都ホテル(京都府)
    • 年月日
      2011-06-17
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] Deficiency of activation-induced cytidine deaminase prevents colits-associated colon cancer development2010

    • 著者名/発表者名
      高井淳
    • 学会等名
      第69回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      大阪市、大阪国際会議場
    • 年月日
      2010-09-22
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

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