研究概要 |
本研究課題は,これまで我々の研究室で用いられてきた極短パルス電圧形成技術を用いて,更なる急峻な電圧の立ち上がりとサブナノ秒オーダーの出力パルス電圧を発生させる「サブナノ秒パルス電源」を開発することを目的としている。本研究課題が実現した場合には,既存の放電プラズマ形成技術と比較して,省エネルギーで,より化学的活性度の高い放電プラズマを形成することが可能となり,これまでエネルギー効率の悪さから実用化が困難とされていた様々なプラズマ処理技術が一気に実用化へ進むことが期待される。以下に本年度に実施した研究内容を記す。 1. オゾン生成濃度及び生成量の増加 -20℃のチラー水を用いて放電リアクタを外部から冷却することで,これまで40g/m^3で飽和してしまっていた最高オゾン濃度が,62g/m^3まで向上することがわかった.また,原料を酸素から乾燥空気に換えてオゾン生成実験を行った場合には,最高で約25g/m^3のオゾンを生成することができた. 2. インピーダンス整合の改善 最もエネルギー転送効率の高い条件(装置インピーダンス100Ω,電極長2000mm,印加電圧60kV時)には51.2%というナノ秒パルス電源から放電までのエネルギー転送効率を得ることができた. 3. サブナノ秒パルス電源の開発 本年度は,Sub-nsパルス放電の前身である2nsパルス放電の特性評価を行った.評価方法としては,本研究室でパルス放電プラズマの特性評価方法として行ってきたNO除去及びオゾン生成実験を50ns,5ns,2nsの3種類のパルス放電を使用して比較した.その結果,2nsパルス放電が極めて高い処理効率を有することが確認され,10ns以下の極短時間領域においても,電極間印加電圧の短パルス化及び立ち上がりの高速化が,プラズマ処理へ高効率化をもたらすことが実証された.(Sub-ns秒パルス電源開発の有用性のエビデンスが得られた.)
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