研究課題/領域番号 |
10J02577
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
電子デバイス・電子機器
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
吉田 周平 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ホログラフィックデータストレージ / フォトポリマー / FDTD法 / ビーム伝搬法 / 準モンテカルロ法 / 超一様分布列 / HDS / 遺伝的アルゴリズム / ロッドレンズ / モンテカルロ法 / GRIN / 光線追跡 |
研究概要 |
本年度のホログラフィックデータストレージ(HDS)に関する研究実施状況は以下の通りである。HDSの記録媒体であるフォトポリマーの実用化に向けて、ラジカル重合性のフォトポリマーを開始反応・成長反応・停止反応という3つの素反応からなる反応拡散方程式によりモデル化し、回折特性をビーム伝搬法との連成解析により評価した。数値解析による評価結果をLevenberg-Marquardt(LM)法により実験結果と比較することで、開始速度・成長速度・停止速度といった反応速度定数やフォトポリマーを構成する各成分の拡散定数を見積もり、それらのパラメータが回折特性にどのような影響を与えるかを明らかにした。上記に関連して、HDSのような高密度光ディスクのサーボ機構の解析手法を確立した。この研究では電磁場の解析手法である時間領域有限差分(FDTD)法と回折光学の解析手法を組み合わせることで、きわめて効率的に光ディスクのランド・グルーブ構造による光の反射の様子およびサーボ誤差信号を解析することが可能になった。光ディスクのランド・グルーブ構造は波長以下の構造を持つ一方で、反射光はフラウンホーファー領域にまで伝搬するため、全領域をFDTD法により解析することは非現実的である。そこで、本研究では光ディスクの近傍領域における反射をFDTD法により解析し、反射光を回折光学の手法を用いてフラウンホーファー領域まで伝搬させることによりこの問題の解決を図った。 また、派生テーマとしてロッドレンズのシミュレーションによる性能評価に関する研究を進めた。ロッドレンズのMTF評価にモンテカルロ法を導入することで、従来の点光源を使う手法より精度よく解析できるようになった。また、この手法に超一様分布列を用いた準モンテカルロ法を適用することにより、収束性を向上させた。これら準モンテカルロ法の照明光学系への応用に関して、超一様分布列ごとの定量的評価を行い、その漸近的収束性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では反応拡散モデルに基づいた数値解析と実験によりフォトポリマーの回折特性を評価し、開始速度・成長速度・停止速度といった反応速度定数やフォトポリマーを構成する各成分の拡散定数を見積もることで、それらのパラメータが回折特性にどのような影響を与えるかを明らかにした。これらの研究結果から、フォトポリマーをHDSの記録媒体として実用的に用いるための知見が得られたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえ、今後の研究ではHDSの記録再生システムを構築し、その性能を評価する。具体的には、光学系を簡素に構成できる球面波シフト多重方式による多重記録方式を確立し、1Tbit/in^2以上の記録密度を実現可能であることを実験的に実証する。以下に今後の研究において取り組む課題を挙げる。 (1)球面波シフト多重方式を用いた多重記録光学系の構築 (2)透過型・反射型記録を併用した記録再生システムの実証 (3)円形ディスク型フォトポリマー媒体を用いた実用的システムの実証 (4)記録から再生までの一貫した信号処理システムの開発
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