研究課題/領域番号 |
10J02843
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
細田 將太郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | FKBP38 / ANKMY2(ZMYND20) / 神経管閉鎖 / Sonic hedgehog(Shh) / コンディショナルノックアウトマウス / Cilia |
研究概要 |
FKBP38はイムノフィリンに属する分子シャペロンであり、細胞質で合成されたBcl-2やBc1-xLをミトコンドリアにリクルートし、アポトーシスを抑制する。我々は、Fkbp38ノックアウト(KO)マウスを作製したところ、このマウスは二分脊椎症(神経管閉鎖不全)を発症し生直後に死亡することがわかった。この二分脊椎症の詳細な分子メカニズムは現在のところ不明であるが、KOマウスではソニックヘッジホッグ(Shh)シグナルの下流が活性化されており、Shhシグナルの異常が二分脊椎症を引き起こす可能性がある。我々は生体内で実際にFKBP38に結合するタンパク質を網羅的に同定するため、Histidine-FLAGタグを付加したFKBP38をPrionプロモーター下流で脳に発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。このマウスの脳抽出液を二段階免疫沈降による精製を行い、質量分析によってFKBP38結合タンパク質を探索したところ、ANKMY2を同定した。In vivo及びin vitroのタンパク質結合実験より、FKBP38のN末端56アミノ酸とANKMY2のZn2+finger domainとが結合することが明らかとなった。MEF細胞においてANKMY2をノックダウンするとShhシグナルの減弱を認め、逆にANKMY2を過剰発現するとShhシグナルの増強を認めたため、ANKMY2がShhシグナルの正の制御因子である可能性が考えられた。さらにゼブラフィッシュの発生過程におけるankmy2の発現パターンをin situハイブリダイゼーションにより解析したところ、発生初期及び神経管領域での発現を認めた。モルフォリノオリゴヌクレオチドを用いてankmy2をノックダウンすると、Shhシグナルの阻害によって起こるU字型体節の表現型を認めた。さらに蛍光タンパク質の発現により生体内でShhシグナルの可視化が可能なTgゼブラフィッシュにおいてankmy2をノックダウンすると、蛍光シグナルの減弱を認めた為、ANKMY2はゼブラフィッシュ個体内においてもShhシグナルを正に制御することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者の課題は神経管閉鎖におけるFKBP38分子機構の解明である。現在までにその解明の糸口となる新規結合タンパク質を発見し、そのタンパク質が細胞・個体レベルでShhシグナルを制御するということまで明らかにできたことはかなりの進展だと考える。さらにマウス遺伝学を用いた証明のために、ノックアウトES細胞を購入し、現在はキメラマウスまで作製できたことから進展は(2)おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は神経管閉鎖における...分子機構の解明である。神経管閉鎖の解析は主にマウスを用いて行われるが、今回は新規因子を発見した後にマウスで解析するということから、長時間必要となる。そこで現在までに、マウス以外のモデル生物で、Shhシグナルがよく研究されているゼブラフィッシュを用いて、解析を行った。その結果、ゼブラフィッシュにおいても新規FKBP38結合因子ANKMY2がShhシグナルを制御することが明らかとなった為、今後はマウスを用いた解析を行う。さらに、FKBP38とANKMY2の上下関係を探索するために、ダブルノックアウトマウスを作製して実験を行う。
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