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標的タンパク質の立体特異的リガンド認識を利用したマメ科植物就眠運動の分子機構解明に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J03237
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 生物分子科学
研究機関東北大学

研究代表者

猪俣 翔  東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2010 – 2012
研究課題ステータス 完了 (2012年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワード分子プローブ / リンカー / 標的タンパク質 / 就眠運動 / 標識化 / ビアリールリンカー / 剛直性 / 分子プローブ法 / CuAAC
研究概要

就眠運動の分子機構解明を目指し,モデル植物であるアメリカネムノキの就眠運動を制御する内因生理活性物質β-グルコピラノシル-12-ヒドロキシジャスモン酸カリウムを基盤とした分子プローブを設計・合成し,その標的タンパク質MTGJの効率的標識化および精製を目指し研究を行ってきた.前年度までに,リンカー構造にトリアゾール-フェニル(TAzP)型ビアリール構造を含む分子プローブを開発し、これが従来用いてきた分子プローブと比較して約20倍もの標的タンパク質標識化効率を示すことを見出した.これは,ビアリール構造に起因する剛直なリンカーが、嵩高い分子タグをファーマコフォアから空間的に引き離すことで,分子プローブ-標的タンパク質間相互作用が強まったことが原因であると考察した。本年度はこの知見を活かし、リンカーの分子構造と分子プローブの性能の相関を明らかにし,さらなる高性能分子プローブの開発の開発を目指すこととした.リンカー部位の剛直性を比較するコントロールとして,トリアゾール基とフェニル基を炭化水素鎖(C2H4)で連結した分子プローブ,および分子プローブに広く用いられるオリゴエチレングリコールリンカーを導入した分子プローブをそれぞれ合成した,また,剛直性を保ち,更に平面性と分子全体の極性を高めたトリアゾール-キノリン(TAzQ)構造を有する分子プローブを合成し,これらとTAzP型プローブとMTGJ標識化効率を比較した.その結果,合成した各種プローブはTAzP型プローブに比べ標識化効率が著しく低下した.炭化水素鎖を挿入したプローブ,およびオリゴエチレングリコールを導入したプローブとの比較結果から,TAzP型分子プローブの高い標識化性能は,リンカー部位の剛直性が大きく寄与していることが示唆された.また同じビアリール構造を有するTAzQ型プローブがほとんど標識化性能を示さなかったことに関しては,分子プローブの水溶性の違いによる物と考察した.TAzQ型はTAzP型に比べClogP法および逆相HPLCの保持時間から極性は高いものの、その飽和濃度はTAzP型の4分の1程度であった.橋本らは,分子の平面性や対称性を崩すことで分子の水溶性が向上することを報告している.そこで,DFT計算を用いたコンフォメーション解析を行い,TAzP型とTAzQ型のビアリール結合の二面角を調べたところ,TAzP型はややねじれた構造を取っているのに対し,TAzQ型は平面性を保った構造を有することが明らかになった.このような最安定構造の違いから二つのプローブは水溶液中で異なる状態を取り,結果として標識化効率に差が現れたものと推測された.以上の結果から,申請者が開発したTAzPリンカーは簡便に合成可能かつ高い標識化性能を付与することができる優れたリンカーであることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

高性能分子プローブを開発し,この高い性能がリンカー構造に起因することを見出し,今後の分子プローブ開発研究に置ける一つの指針を示すことが出来たものの,未だ就眠運動に関わるタンパク質の単離・精製は達成されていない.

今後の研究の推進方策

現時点での課題は,標的タンパク質MTGJが極微量にしか入手できない点である.これを解決するためには,アメリカネムノキ運動細胞プロトプラストの大量調製法の確立,並びにタンパク質精製のプロトコル改善が必要不可欠であると考える.

報告書

(3件)
  • 2012 実績報告書
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 〓probe and its efficiency in affinity labeling of a target protein for jasmonate2013

    • 著者名/発表者名
      Tamura S, Inomata S, Ebine M, Genji T, Iwakura I, Mukai M, Shoji M, Sugai T, Ueda M
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters

      巻: 23 号: 1 ページ: 188-193

    • DOI

      10.1016/j.bmcl.2012.10.124

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] "Click-made" biaryl-linker improving efficiency in protein labelling for the membrane target protein of a bioactive compound2010

    • 著者名/発表者名
      Yoko Nakamura, Sho Inomata, Makoto Ebine, Yoshiyuki Manabe, Izumi Iwakura, Minoru Ueda
    • 雑誌名

      Organic & Biomolecular Chemistry

      巻: 9 ページ: 83-85

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] マメ科植物の就眠運動を探る-Click chemistryを用いた高性能分子プローブの開発-2011

    • 著者名/発表者名
      猪俣翔、海老根真琴、上田実
    • 学会等名
      慶應サマーシンポジウム
    • 発表場所
      慶應義塾大学芝共立キャンパス
    • 年月日
      2011-07-28
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] CuAAC型分子プローブを用いたLCF標的タンパク質の効率的標識化2010

    • 著者名/発表者名
      猪俣翔, 中村葉子, 海老根真琴, 向井誠, 上田実
    • 学会等名
      第21回万有仙台シンポジウム
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県)
    • 年月日
      2010-06-05
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [学会発表] ビアリール連結型高性能分子プローブを用いたジャスモン酸グルコシド標的タンパク質の効率的標識化2010

    • 著者名/発表者名
      猪俣翔, 中村葉子, 海老根真琴, 岩倉いずみ, 上田実
    • 学会等名
      植物化学調節学会第45回大会
    • 発表場所
      神戸大学百年記念館(兵庫県)
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [備考]

    • URL

      http://www.org1.sakura.ne.jp/index.html

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

URL: 

公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

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