研究課題
特別研究員奨励費
ハナショウガ由来の抗発がん性テルペノイドであるzerumbone(ZER)は、生体タンパク質に対する非選択的な求電子付加反応を介し、培養細胞やラット肝臓において、タンパク質修復因子である分子シャペロンの発現を増加させる。一般的に、生体タンパク質の恒常性は、タンパク質修復系だけでなく、ユビキチン―プロテアソーム系(UPS)及びオートファジー(AP)から成る分解系により維持されている。そこで、ZERがこれらタンパク質分解系を活性化させる可能性を検証した。以下に、平成24年度における研究実施状況を述べる。まず、ZERのタンパク質変性能を評価した。Hepalclc7マウス肝臓がん細胞を本物質で処理したところ、変性タンパク質に対するユビキチンリガーゼCHIP依存的にタンパク質のユビキチン化が促進した。また、ZER処理による細胞内凝集タンパク質の増加を認めた。以上の結果から、ZERが生体タンパク質に対して変性ストレスを与える可能性が示唆された。続いて、ZERがUPS及びAPを活性化する可能性について検証した。Hepalclc7をZERで処理することにより、プロテアソーム構成因子β5の発現が誘導された。これに伴い、プロテアソームのプロテアーゼ活性が有意に増強した。一方、ZERはAPのマーカー分子であるLC3-IIを誘導した。PCRarrayを用いて計84種のAP関連遺伝子の発現を評価したところ、ZERのp62に対する顕著な誘導活性を見出した。p62は、異常タンパク質に対する選択的APの誘導に重要な分子である。内因性脂質過酸化物4-hydroxy-2-nonenal(HNE)によるタンパク質修飾及び細胞毒性は、細胞をZERで前処理することにより有意に緩和されたが、本細胞保護作用はp62のノックダウンによりほぼ完全に消失した。以上の結果から、ZERはタンパク質修復系だけでなく、分解系をも活性化させることが明らかとなった。平成23、24年度において見出したZERによるタンパク質品質管理機構の活性化作用は、本物質により引き起こされたタンパク質ストレスに対する適応応答(ホルミシス)であると考えている。
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