研究課題/領域番号 |
10J03682
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 同志社大学 (2012) 大阪大学 (2010-2011) |
研究代表者 |
安岡 健一 同志社大学, グローバルスタディーズ研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 軍用地 / 農民運動 / 共同体 / 戦後開拓 / 平和主義 / 高度成長期 / 自衛隊 / 軍用地問題 / 高度成長 / 農村共同体 / 青年団 / 民主主義 / 社会運動 / 労働 / 引揚 / 農地改革 / 移民 / repatriation / immigration / settlement / land reform |
研究概要 |
本研究においては、1950年前後における軍用地の調達過程にみる、農村社会の変容を研究することを課題としてきた。本年度は研究の最終年度として、これまでの調査における不足点の最終的確認および論文の執筆に重点的に取り組んできた。 調査としては第二年度から取り組んできた神栖村関係資料の重点的な調査を行った。神栖村歴史民俗資料館及び議会事務局などの協力を得て、既存資料の収集と当時を知る人々への聞き取りを行った。茨城県立図書館、議会図書館、銚子市立図書館の資料についても確認し、基本的な文献については収集を完了することができた。 これらの資料を基礎として、論文を執筆した。その成果が野田公夫『農林資源開発史論1』(京都大学学術出版会、2013年)に収録された「基地反対闘争の政治」である。本論文では茨城県神之池基地反対闘争(1955-58年)と呼ばれる、自衛隊基地の設置をめぐる国家と地域社会の間の紛争を取り上げ、そこでいかなる政治過程が存在したのかを明らかにした。この間、沖縄県などの事例を中心に米軍基地の軍用地調達過程について研究が先行して蓄積されているのに対して、自衛隊基地設置の場合に見られる固有の問題として、省庁間(防衛庁と農林省)の見解の相違について明らかにすることができた。 このほか、研究過程を通じて新たな課題として得られた、鹿島地域のコンビナート開発を視野にいれて、高度成長期の過程で農業問題をとらえる枠組み自体が大きく変わって来る過程について論文を執筆したが、年度内には掲載に至らなかった。そこでは、激化する地域の運動においても、保守と革新というイデオロギー対立のみならず、農業経営という経済的な側面が、基地問題をとらえる上で地元の住民にとって非常に重要な意味を持っていたということについて論じている。また、資料収集については1960年代中盤までを視野に入れた収集を行ってきたため、今後はこの作業を基礎として成果として発表できるよう努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度においては、研究の終結をめざして資料収集などを積極的に行うと同時に執筆に取り組んだが、執筆した論文が全て掲載に至ったわけではなかった。このため、いくつかの論文が年度内に刊行されることがなかった。しかし、今後は再投稿も含め成果として発表してゆくことをめざす。
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今後の研究の推進方策 |
この期間には執筆はしたが掲載に至らなかった部分については早急に成果とすることを試みる。他方で、本研究課題を遂行する過程で、高度成長期における地方におけるコンビナート建設を象徴とする大規模開発事業について研究する必要性が明らかとなった。今後においては重化学工業化が進んだ地域と、軽工業が発達した地域の二つをフィールドとすることによって、戦後の経済成長過程の多様性と同時に、それが大都市圏中心の経済に構造化されてゆく過程を比較・検討する研究をすすめてゆきたい。
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