研究課題
特別研究員奨励費
有線や無線等の種々のネットワーク技術の発展により、従来のクライアント・サーバ・モデルを中心とした集中型アーキテクチャがユーザの需要に対応しきれない部分が表れてきている。そこで、大規模化・多様化に対応するため、各ノードが自律的に動作して規模拡張性(scalability)を保ち、処理の共有化やデータ転送の最適化等をネットワーク全体として実現する分散型のアーキテクチャが注目されてきていている。本研究では、P2Pオーバーレイ・ネットワーク上でピア間の大規模なグループを考え、グループ内のピア間での柔軟でかつ有効な合意プロトコルを研究することを目的としている。分散型のシステム環境の中で、複数のピアが柔軟でかつ有効な合意を行なうためには、合意プロセスに参加しているピアが正しく動作している必要がある。本研究では、まず、ピアが正しくメッセージを転送できるピアを信用可能性が高いピアとしている。他のピアの信用可能性は、ピア間の通信を通して獲得していくものである。各ピアは、メッセージを隣接ピアに送信を行う。ここで、信用可能性の高い隣接ピアのみがメッセージを転送することにより、メッセージ数を減少するとともにピアの障害に頑強となるようにする。このために、まず、ピアに対して隣接ピアに信用可能性の高いピアを転送ピアとするように、グループを構成するアルゴリズムを議論し、開発した。次に、本方式により構成されたグループ上で、ピアが送信したメッセージをグループ内のピアに放送する方式を研究し、評価を行った。研究されたグループ通信プロトコルを用いることにより、ピアが他のピアの故障によりメッセージを受信できない可能性に減少し、ピア間の合意が成立する確率を高めることを示した。本研究により、信頼性が高い大規模グループを構築し通信を行う方式を提案し、合意プロトコルを有効にかつ高信頼に行うことができることを示した。これらの研究成果を論文としてまとめ、発表を行なった。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (23件) 備考 (1件)
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