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核内糖修飾シグナルにおける新規エピジェネティック制御因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 10J04044
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 生物分子科学
研究機関東京大学

研究代表者

橋場 和華  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2010 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードエピジェネティクス / ヒストン / 糖修飾 / クロマチン制御 / プロテオミクス
研究概要

本研究では、核内における糖修飾が関与する新しいタンパク質機能制御を明らかにすることが目的である。そこで2年目は、以下の2点に関して研究を実施した。
昨年度に引き続き、クロマチン上における糖修飾化因子の遺伝子発現上の重要性に関する研究をおこなった。生化学的手法による探索の結果、ヒストンの中でもH2Bが核内糖修飾化酵素(OGT)によって、糖修飾(O-GlcNAc化)されることが明らかになった。また、ヒストンH2BのO-GlcNAc化部位はC末端側のSer112であることが明らかになった。近年、ヒストンの修飾同士のクロストークも遺伝子発現制御に重要である事が明らかになっている。そこで、H2BS112近傍のヒストン修飾とクロストークがあるかどうかを検討した。その結果、H2BK120のユビキチン化にS112のO-GlcNAc化が影響を与えることを見出した。さらにH2BK120のユビキチン化は、転写を活性化するヒストン修飾であるH3K4のメチル化を促進することから、ヒストンのO-GlcNAc化は遺伝子発現を正に制御することが明らかになった。これらの成果は、第二著者としてNaure誌の一部として掲載された。(Fujiki R,Hashiba W,et al,Histone H2B GlcNAcylation facilitates its monoubiquitilation,Nature,2011,480,557-560)
昨年度は、O-GlcNAc化H2Bに対する認識因子(核内レクチン)の探索をおこなってきた。ペプチドプルダウンを用いた、精製の結果、HSP70を同定することができた。しかしながら、HSP70はO-GlcNAc基を認識するレクチンとして報告されているが、ヒストンを特異的に認識するモチーフはなかった。さらに様々な検討をおこなってきたが、HSP70以外の新規核内レクチンの同定には至らなかった。つまり、これまでの結果から言える事は、一般的な精製法では核内レクチンを精製することが難しいことが明らかになった。そこで、視点を変えて、グルコースで制御されるクロマチン因子群の精製を試みることにした。この方法を用いればグルコースに応答するクロマチン因子の同定が可能であり、また、核内レクチンもこの中に含まれる可能性が高い。Flagタグ付きのヒストンH2Bをベイトとし、その安定発現株を取得した。その後、グルコース有無の条件下で細胞を培養し、アフィニティ精製に供した。また、精製産物はLC-MS/MSによって網羅的に同定された。その結果、グルコース有無によって、結合が異なる因子群の同定に成功にした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究では、核内糖修飾とそれに関わるエピジェネティック制御因子の探索がテーマであり、その一つとしてヒストンを同定することを明らかにすることができ、その結果はNature誌の一部として掲載された。また、核内糖修飾を認識する因子としてHSP70を同定することができた。以上のことを考えると、当初の計画以上に研究計画が進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本研究課題として、核内糖修飾シグナルにおける新規エピジェネティック制御因子の探索として、核内レクチンの精製・同定を提案した。しかしながら、これまでの結果から明らかになったことは、核内レクチンは一般的な精製方法では精製・同定することができないということであった。そこで、この問題点を解決するための今後の推進方策として、研究計画の一部変更をおこなう必要がある。その変更内容として、精製する因子群の対象を変更したい。つまり、グルコース応答性クロマチン因子群の精製・同定をここに提案したい。核内糖修飾のレベルは細胞外グルコース濃度に依存することが知られていることから、グルコースの有無による精製をおこなうことで、グルコースに応答するクロマチン因子群を精製することが可能である。また、この変更案は、本研究課題である核内糖修飾シグナルにおける新規エピジェネティック制御因子の探索から決して外れるものではないことから、今後はこのような推進方策をとっていきたい。

報告書

(2件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] GlcNAcylation of histone H2B facilitates its monoubiquitination2011

    • 著者名/発表者名
      Fujiki R, Hashiba W, Sekine H, Yokoyama A, Chikanishi T, Ito S, Imai Y, Kim J, He HH, Igarashi K, Kanno J, Ohtake F, Kitagawa H, Roeder RG, Brown M, Kato S
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 480(7378) 号: 7378 ページ: 557-560

    • DOI

      10.1038/nature10656

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multiple post-translational modifications in hepatocyte nuclear factor 4α2011

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama A, Katsura S, Ito R, Hashiba W, Sekine H, Fujiki R, Kato S
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 410 ページ: 749-753

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Glucose-induced expression of MIP-1 genes requires O-GIcNAc transferase in monocytes.2010

    • 著者名/発表者名
      Chikanishi T, et.al.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 394 ページ: 865-870

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] KIAA1718 is a histone demethylase that erases repressive histone methyl marks2010

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama A, et.al.
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 15 ページ: 867-873

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 生化学的手法による新規ヒストンH2B相互作用因子の探索2010

    • 著者名/発表者名
      橋場和華
    • 学会等名
      BMB2010
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド、神戸
    • 年月日
      2010-12-07
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

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