研究課題
特別研究員奨励費
本年度は以下の結果を得た。1.PDFおよびUNTが温度同調に果たす役割を検討するため、Pdf欠損系統Pdf^0、UNTによる神経伝達を破傷風毒素(TNT)の特異的発現により阻害したPdf-gal4/uas-TNT-E(Pdf>TNT)、およびPdfを欠損しかつUNTの伝達を阻害したPdf-gal4/uas-TNT-E;Pdf^0(Pdf>TNT;Pdf^0)を用いて、恒暗下で温度サイクル(DD+TC)を与えて同調後、TCを6時間シフトして同調過程を調べた。その結果、1.野生型、Pdf^0では約3サイクル後に同調したのに対し、Pdf>TNTでは約8サイクル後に同調したことから、UNTは温度同調促進作用を有することが示唆された。また、Pdf>TNT;Pdf^0はピークが不明瞭ではあるが、高温期で示す活動が温度シフトとともに移行したことから、少なくとも温度同調は確認された。2.野生型、Pdf^0、Pdf>TNTを用いて、昼と夜または低温期と高温期の2ポイントで光同調および温度同調下での各時計細胞での時計タンパク質発現リズムを解析した結果、大きな変化は観察されなかった。今後、ポイント数を増やして詳細な解析を行う必要がある。3.UNTの候補の絞り込みを行う目的で、PDFニューロンで神経伝達物質合成酵素のノックダウン系統を作製し、Pdf>TNTのDD+TC下での特徴的な活動リズムを指標として解析した。その結果、GABA、Acetylcholine、Dopamine、Histamine、Serotonin、Glutamate合成酵素のノックダウン系統で同調までのサイクル数が約5サイクルに遅延したことから、これらがUNTに含まれる可能性が示唆された。今後、スクリーニングした上記の合成酵素のプロモーター配列を利用した形質転換体を用いてGFPを発現させる系統を作製し、PDF免疫染色と組み合わせることにより、伝達物質の同定を進める必要がある。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
Journal of Comparative Physiology B
巻: 182 号: 6 ページ: 729-740
10.1007/s00360-012-0651-1
Journal of Insect Physiology
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http://www.biol.okayama-u.ac.jp/tomioka1/top.html
http://www.biol.okayama-u.ac.jp/tomioka1/tomioka_lab.html