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Tetraodon属魚類の塩分適応に関わる分子進化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J04168
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 水産化学
研究機関東京大学

研究代表者

五十嵐 洋治  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2010 – 2012
研究課題ステータス 完了 (2012年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードTetraodon / 分子系統解析 / ミトコンドリアDNA / 16S rRNA / ミオシン重鎖遺伝子 / in situハイブリダイゼーション / 浸透圧調節 / リアルタイムPCR / 進化 / プロテオミクス解析 / 二次元電気泳動
研究概要

本年度はTetraodon属魚類の系統類縁関係をさらに詳細に調べるために、既報のフグ科魚類のmtDNA全長塩基配列に基づき作製した分子系統樹と、先に我々が決定した塩基配列を合わせてsupermatrix解析を行った。その結果、T. cutcutiaを除き、アジア淡水域、アジア汽水域、アフリカ淡水域の3系統に分類された。すなわち、Tetraodon属魚類が単系統では無いことが示され、それら3系統の分子系統関係は属レベルで異なる可能性があることが示唆された。
続いて、タイ東部で採取されたアジア淡水産のTetraodon属魚類について分子系統解析を行った。全ての試料魚はT. cohinchinensisとされていたが16S rRNAの部分塩基配列(573bp)を決定した結果、その塩基配列はT. cohinchinensisのものとは異なり、解析した12個体中2個体はT. abeiもしくはT. baileyiの配列と同一であった。さらに、その形態的特徴からT. abeiであると同定された。決定した部分塩基配列に基づき分子系統樹を作製した結果、全ての試料はアジア淡水域系統に分類された。さらに系統樹とアジア淡水域系統の各魚種の生息域の関係から他の10個体はT. cambodgiensisであると推定された。
最後に、昨年度同定した塩分依存的に発現変動を示すミドリフグT. nigroviridisのミオシン重鎖遺伝子(MYH)アイソフォームであるTnMYH_<M2528-1>について、in situハイブリダイゼーションによりその発現分布を調べた。本遺伝子は筋隔膜中の細い筋繊維で強い発現が見られたが、既報のトラフグMYH_<M2528-1>の発現分布とは異なり速筋内部には観察されなかった。トラフグMYH_<M2528-1>は成長に関わると報告されており、ミドリフグにおいても本遺伝子は細い筋繊維で強い発現が見られたことから同様の働きをする可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、Tetraodon属魚類および関連フグ科魚類の分子系統関係をsupermatrix解析により詳細に解析した。その結果、Tetraodon属魚類が単系統では無いことが示され、それら3系統の分子系統関係は属レベルで異なる可能性があるという大変興味深い結果が得られた。
さらに、現地採集したTetraodon属魚類を対象に行った分子系統解析では、DNA分析が形態形質の酷似するTetraodon属魚類の分類に有用であることを示した。

今後の研究の推進方策

塩分依存的に発現変動を示すTnMYH_<M2528-1>について、in situハイブリダイゼーションによりその発現分布を調べた結果、既報のトラフグMYH_<M2528-1>の発現分布とは異なり速筋内部には観察されなかった。トラフグMYH_<M2528-1>は成長に関わると報告されており、ミドリフグにおいても本遺伝子は同様の働きをする可能性が示された。しかしながら、環境中の塩分と筋成長の関係については、筋成長に関連する遺伝子のmRNA発現量等を指標として、今後詳細に検討する必要があると考えられる。

報告書

(3件)
  • 2012 実績報告書
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Molecular phylogenetic relationship of Tetraodon pufferfish based on mitochondrial DNA analysis.2013

    • 著者名/発表者名
      Igarashi Y, Doi H, Yamanoue Y, Kinoshita S, Ishibashi T, Ushio H, Asakawa S, Nishida M, Watabe S.
    • 雑誌名

      Fisheries Science

      巻: 79 号: 2 ページ: 243-250

    • DOI

      10.1007/s12562-013-0598-5

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] ミドリフグ・ミオシン重鎖遺伝子TnMYH_<M2528-1>の異なる塩分条件下での発現変動2013

    • 著者名/発表者名
      五十嵐洋治
    • 学会等名
      平成25年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      2013-03-27
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] Molecular phylogenetic relationship and salinity resistance of Tetraodon pufferfish.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoji Igarashi
    • 学会等名
      22nd IUBMB & 37th FEBS Congress
    • 発表場所
      Seville, Spain.
    • 年月日
      2012-09-05
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] ミトコンドリアDNAおよび核遺伝子塩基配列に基づく東南アジア産Tetraodon nigrovirdisおよびTetraodon sabahensisの分子系統解析2012

    • 著者名/発表者名
      五十嵐洋治
    • 学会等名
      平成24年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      2012-03-27
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] Molecular phylogenetic relationship of Tetraodon pufferfish based on mitochondrial DNA analysis2011

    • 著者名/発表者名
      五十嵐洋治
    • 学会等名
      筋生化学国際シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2011-10-28
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] 東南アジア産ミドリフグTetraodon nigrovirdisの地域集団および同一地域で捕獲されたTetraodon sabahensisのミトコンドリアDNA塩基配列分析2011

    • 著者名/発表者名
      五十嵐洋治
    • 学会等名
      平成23年度日本水産学会秋季大会
    • 発表場所
      長崎大学
    • 年月日
      2011-09-30
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] Tetraodon属魚類の分子系統関係と塩分耐性について2011

    • 著者名/発表者名
      五十嵐洋治
    • 学会等名
      平成22年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      日本大学生物資源学部
    • 年月日
      2011-03-27
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

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