研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、トリブチルスズ結合タンパク質(TBT-bps)およびフグ毒結合タンパク質(PSTBP)の分子進化上の関係を明らかにすることで、フグの毒化機構を解明することである。そこで、2011年度は以下の研究を行った。(1)昨年度に引き続き、養殖トラフグTBT-bp1およびPSTBPにおけるTBTおよびテトロドトキシン(TTX)の蓄積・競合特性を解明するための実験を行った。トラフグTBT-bp1およびPSTBPを精製し、各タンパク質におけるTBTおよびTTXを測定した。2010年度の計画では、Native-Pageを経てTBTおよびTTXを測定する予定であったが、検出限界値以下になってしまったため、ゲルろ過クロマトグラフィー後にTBTおよびTTXの測定を行った。結果、トラフグTBT-bp1およびPSTBPにおいて、いずれもTBTは結合したが、TTXとの競合性は明らかにできなかった。(2)TBT-bpsおよびPSTBPの分子基盤の確立のための実験を実施した。ゲノムデータベースが充実しているトラフグを含めた数種フグ目魚類におけるTBTbpsおよびPSTBPのcDNA配列を解読し、系統樹解析およびシンテニー解析を行った。結果、トラフグ、クサフグ、コモンフグ、ショウサイフグにおいてPSTBPが存在することが分かった。系統樹解析では、TBT-bpsは、TBT-bp1グループとTBT-bp2グループに分岐し、PSTBPはTBT-bp2グループに含まれる事が分かった。このことからも、PSTBPはTBT-bp2から分子進化したことが推測されたが、用いた魚種が少なく、どこからPSTBPが存在するようになったのかは明らかにできなかった。また、シンテニー解析により、魚類のTBTbps遺伝子は、免疫関係の遺伝子とセットとなり、シンテニーを保っている事が分かった。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Marine Pollution Bulletin
巻: 62 号: 11 ページ: 2533-2536
10.1016/j.marpolbul.2011.08.043
Comp Biochem Physiol C Toxicol Pharmacol.
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