研究課題/領域番号 |
10J04501
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山内 朋樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ベルクソン / 美学 / 共感 / 自然 / 創造的進化 / 政治 / 情動 / 道徳と宗教の二源泉 / 神秘主義 / 民衆 |
研究概要 |
自然を「共感するひとつの全体」(ベルクソン『創造的進化』1907)と規定するベルクソンの自然論は、自然と文化の二分法を再考するための重要な参照点となる。ベルクソンの自然論は、共感概念を媒介として自然と人間をひとつのネットワークとして捉えており、それらを対立的に思考する近代的思考への批判が含意されていると考えられる。それにも関わらず、これまでの研究史のなかで共感概念が重視されてこなかったのは、それが主観性の投影、あるいは混乱した感情の経験や心理的内容の投影に過ぎないという批判を受けてきたからだろう(サミュエル・ドレスダン、ジル・ドゥルーズなど)。 本年度は、投影論と異なる観点から共感概念を捉えるために、ベルクソンが共感を「二つの有機体ではなく二つの活動」と考えている点に着目し、検討した(『創造的進化』前掲)。投影論が批判されてきたのは、最初に二つの孤立した「有機体=個体」を想定し、その後に主客の間隙を繋ぐ曖昧で神秘的な飛躍(=投影)を設定するからだ。しかしベルクソンにしたがって、はじめに二つの「有機体」に代えて二つの「活動」を想定すれば、一方を主体(人間)、他方を客体(自然)として対立させる必要はなく、両者を同一平面上の活動主体として捉えることができる。 本年度は、こうした読解を基礎にしてベルクソンの自然論に着目し、《主観性の投影》ではなく《活動の連関》として共感概念を再解釈することで、ベルクソンに置ける「人間と自然の関係」を再検討し、博士論文の骨格を構成した。また国内で入手できない資料のために、本年度も昨年度に引き続き、夏期にパリの関係機関に赴き、資料収集、複写、記録、整理作業に当たった。この作業によって研究発表ならびに博士論文のためのデータベース作成が行われた。
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