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ヒノキ科樹木における環境適応プロセスの遺伝的解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J04530
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 森林科学
研究機関京都大学

研究代表者

阪口 翔太  京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2010 – 2012
研究課題ステータス 完了 (2012年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードRNA-seq / Callitris / 集団デモグラフィ / 気候変動 / ヒノキ科 / 適応進化 / 生態ニッチ / 遺伝構造 / EST-SSR / 葉緑体マーカー / 生態ニッチモデリング / 針葉樹 / オーストラリア
研究概要

本研究では,多様な環境を有するオーストラリア大陸に分布するヒノキ科針葉樹(Callitris columellaris species complex)を対象とし,その環境適応プロセスを遺伝解析手法によって解明することを目的としている.平成24年度は,(1)これら複合種の適応進化に関連する遺伝子座の探索,(2)複合種の集団デモグラフィに影響を及ぼしたと考えられる最終氷期の環境変動の推定を行った.(1)では,C. columellaris複合種における適応の遺伝的基盤を探索するため,京都大学で種子から育成した実生サンプルからmRNAを抽出し,次世代シークエンサーを用いてそれらの塩基配列を網羅的に解読した.今回の解析で対象にしたmRNAは,本種の巨大なゲノム(約11Gbp)のうちの一部分を代表するものであるが,そこに蓄積される突然変異はタンパク質を構成するアミノ酸配列の変化を引き起こす可能性がある.今回は,自生地での年間降水量が330-1739mm,年平均気温が13-29度と多様な環境下に由来する7個体の実生からmRNAを抽出し,全体で2億2370万配列を取得することができた.その後,BlastXデータベースを参照することで,種子植物タンパク質と高い相同性が認められた2.9万本のcontig配列については単一のアミノ酸配列を予測することができ,さらにそれらcontigについて7サンプルに共通して配列がマップされた9500contig配列を対象として,現在,アミノ酸配列の特定とTajima's DやdN/dSなど統計量の算出を行っている.これらの計算が完了すれば,異なる環境下にある個体間で大きく遺伝的に分化を遂げた遺伝子座を特定することができると予想している.(2)オーストラリア大陸は最終氷期に複雑な環境変化を経験した.一つは全球規模での気温低下と乾燥化であり,もう一つは人類到来に伴う火災レジームの変化である.こうした環境変化は植生改変や大型哺乳類の絶滅をもたらしたと考えられているが,大陸スケールでどのような景観変化が起こったのかは十分に理解されていない.本複合種は大陸全域に分布する針葉樹であり,集団の維持に一定の降水量を必要とし,また野火に対して脆弱であることから,環境変化の指標種として利用されている.本研究では,大陸全域から収集した集団サンプルを遺伝解析することで,最終氷期における豪州ヒノキ複合種の集団デモグラフィを推定するとともに,生態ニッチモデリング(ENM)を用いて最終氷期における古分布を再現した.遺伝解析の結果,大陸の各山地域には遺伝的に分化した系統が多数分布しており,最終氷期を通じて地域集団がその場で分布を維持してきたことが明らかになった.しかしEMの予測から,大陸内陸部では最終氷期最盛期に分布域が大きく縮小したことが示され,実際にそうした地域集団の大半で著しい集団サイズの減少が推定された.一方,人類による土地利用の歴史が最も長く,高い火災頻度に特徴付けられる熱帯サバンナでは,集団サイズは安定していたことが示された.これらの結果から,豪州ヒノキの集団デモグラフィと分布パターンには人類による火災レジームの改変よりも,最終氷期における乾燥化がより強く影響したことが推察された.

報告書

(3件)
  • 2012 実績報告書
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Genetic evidence for patemal inheritance of the chloroplast in four Australian Callitris species (Cupressaceae)2014

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi, S., Tsumura, Y., Crisp, M. D., Bowman, D. M. J. S. Isagi, Y.
    • 雑誌名

      Journal of Forest Research

      巻: (印刷中) 号: 1 ページ: 244-248

    • DOI

      10.1007/s10310-012-0384-8

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Isolation and characterization of 52 polymorphic EST-SSR markers for Callitris columellaris (Cupressaceae)2011

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi, S., Uchiyama, K., Ueno, S., Ujino-Ihara, T., Tsumura, Y., Prior, L.D., Bowman, D.M.J.S., Crisp, M.D., Isagi, Y.
    • 雑誌名

      American Journal of Botany

      巻: 98 号: 12 ページ: 363-368

    • DOI

      10.3732/ajb.1100276

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 針葉樹の集団デモグラフィから探るオーストラリアの最終間氷期最盛期以降の景観変化2013

    • 著者名/発表者名
      阪口翔太, Bowman, D., Prior, L., Crisp, M., Linde, C., 津村義彦, 井鷺裕司
    • 学会等名
      第124回日本森林学会大会
    • 発表場所
      岩手大学(盛岡市)(招待講演)
    • 年月日
      2013-03-27
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] 豪州ヒノキにおける集団デモグラフィの地理的変異はどのように形成されたのか?2013

    • 著者名/発表者名
      阪口翔太, Bowman, D., Prior, L., Crisp, M., Linde, C., 津村義彦, 井鷺裕司
    • 学会等名
      第60回日本生態学会大会
    • 発表場所
      静岡県コンベンションアーツセンター(静岡市)
    • 年月日
      2013-03-07
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] オーストラリア産針葉樹の分布拡大は生態ニッチシフトを伴ったのか2012

    • 著者名/発表者名
      阪口翔太
    • 学会等名
      第59回日本生態学会大津大会
    • 発表場所
      滋賀県大津市
    • 年月日
      2012-03-20
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] Evolutionary history of Callitris columellaris sensu lato (Cupressaceae) in Australia revealed by combined genetic evidences2011

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi, S.
    • 学会等名
      Annual Conference of Ecological Society of Australia 2011
    • 発表場所
      オーストラリア・ホバート
    • 年月日
      2011-11-21
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] オーストラリア全土に分布拡大したヒノキ科樹木Callitris columellarisの遺伝的分化2011

    • 著者名/発表者名
      阪口翔太(京大院・農)、津村義彦、井原徳子、内山憲太郎(森林総研)、D.Bowman, L.Prior (タスマニア大)、M.Crisp (オーストラリア国立大学)、井鷺裕司(京大院・農)
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      北海道札幌市札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-03-11
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

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