研究課題/領域番号 |
10J04630
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用経済学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
湯川 志保 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 介護行動 / 機会費用 / 子どもの誕生 / 男性の労働時間 / 仕事満足度 / 要因分解 / 子どもの所得(女性) / 親への経済援助 / 親の世話 / 女性の就業 / 労働時間 / 賃金 |
研究概要 |
本年度は、日本社会の人口構成の変化や性別意識の変化と家計の労働行動の相互関係に対して実証的分析を行った研究成果をまとめ博士論文を完成させた。主な博士論文の内容は次の3つである。 第1は、妻の賃金と介護行動の関係についての分析である。妻の介護に対する機会費用が増加した時、妻と配偶者の親への介護行動(介護、訪問、家事)にどのような変化が観察されるかについて分析を行った。前年度は、妻の親のみに注目し分析を行っていたが、今年度は妻の親だけではなく、配偶者の親にも注目し分析を行った。分析の結果から、妻の親に関してのみ、妻の賃金の上昇は妻の親への経済援助を増加させ、介護を低下させることが明らかとなった。以上の研究成果を英訳し、英文校正を行った。近日中にディスカッションペーパーにし、投稿を行う予定である。 第2は、子供の誕生が男性の労働行動に与える影響について分析を行った。分析の結果から、子どもが1人増加すると、平均的に父親の賃金率は2.8%、年労働時間はおよそ65時間上昇することが明らかになった。これは、子供の誕生によって家計内での分業が促進され男性の労働時間が増加し、それによる生産性の上昇と扶養手当の増加によって賃金が上昇したと考えられる。第2の研究は、日本経済学会春大会(報告タイトル:「子どもの誕生が男性の賃金や労働時間に与える影響」)で口頭報告を行うとともに、小樽商科大学で開催されたSummer Workshop on Economic Theory(報告タイトル:"The Premium of Fatherhood and Labor Supply in Japan")でも口頭報告を行った。英文校正を行い、ディスカッションペーパー(Wage Premiumn of Fatherhood and Labor Supply in Japan"MPRA_Paper No33049)としてまとめた。 第3は、男女間の仕事満足度の差の要因分析である。賃金・昇進等の処遇において不利な立場におかれている女性労働者が男性労働者よりも高い仕事満足度を感じるという「仕事満足度に関するジェンダー間パラドックス」に注目し、分析を行った。分析の結果、処遇に関する満足度において「仕事満足度に関するジェンダー間パラドックス」が観察された。パラドックスが生じる要因として、定数項が最も大きく、続いて業務納得度と年齢が大きく影響していることが確認された。第3の研究は、「正社員を対象とした男女間の仕事満足度の差に関する分析-"gender/job-satisfaction paradox"の分析-」(有田祐規氏との共著)を改訂したものであり、英訳を行うとともに英文校正を行った。近日中にディスカッションペーパーとしてまとめるとともに投稿を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間で博士課程を修了し、博士論文を完成させることができたので。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第2の研究の発展として結婚や出産といった家族構成の変化が家計の時間配分に与える影響について分析を行っていきたい。
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