研究課題/領域番号 |
10J04684
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安井 猛 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 超原子価ヨウ素 / 不斉合成 / スピロラクトン / 酸化反応 / カップリング反応 / フェノール / アルコール添加効果 / 過酸化水素 / TBHP / ジヒドロベンゾフラン |
研究概要 |
毒性をもつ重金属酸化剤や高価な遷移金属触媒に代わる環境調和型の酸化剤として最近超原子価ヨウ素化合物が注目されている。一方で、不斉合成反応の開発は医薬品合成などにおいて非常に重要である。しかし、光学活性超原子価ヨウ素を触媒的に用いる高エナンチオ選択的な酸化反応の例は非常に限られている。そのため、実用的な光学活性超原子価ヨウ素化合物の開発、及びそれを触媒に用いる高選択的な不斉酸化反応の開発が急務である。24年度の研究では、23年度に開発した光学活性超原子価ヨウ素触媒を用いることで、フェノール誘導体のエナンチオ選択的脱芳香環型酸化反応の開発及び反応機構の解明を行った。フェノール類の脱芳香環型酸化反応は、生合成上重要な反応であり、フェノールの酸化により構築された骨格を含む天然物や生理活性物質は数多く存在する。研究の結果、アルコールの添加が触媒活性及びエナンチオ選択性に大きく影響を与えることを見い出した。電子供与性あるいは電子求引性置換基に関わらず、適切なアルコールを添加することにより、様々な基質で高収率、高エナンチオ選択的に対応するスピロラクトンを得ることに成功した。様々な実験の結果、このエナンチオ選択性の向上は、カルボン酸に比べて脱離能の低いアルコールがヨウ素(III)のリガンドになることで、ラセミ体の生成を抑制するためだとの結論に至った。また、ヨードシルアレン[Ar^*I(OMe)_2]のX線結晶構造解析により、触媒の分子内の水素結合を鍵とする折り畳み構造を確認することができた。溶液状態においても、分光学的手法を駆使し、X線結晶構造と同様な折りたたみ構造をとっていることを示唆する結果を得た。このようなアルコールの添加効果はこれまでにない知見であり、また詳細な触媒作用のメカニズムを解明することできた。これらの結果は、今後の光学活性超原子価ヨウ素触媒を用いる不斉酸化反応の開発において大きく貢献すると考えられる。
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