研究概要 |
1)「積雪環境予測」のための数値モデルの開発 ・昨年開発した雪粒子が流れ場へ及ぼす影響を表現するサブモデルについては、風速が比較的を大きく、雪粒子がより多く飛散する状況下でも適応できるよう、平成23年度後半に追加で行った風洞実験を基に、モデル係数のチューニングを行った。 ・雪の飛散・堆積モデルについて、昨年度に開発したサブモデルをさらに改良し、雪面から飛散し雪の積雪全体に対する寄与率を導入することで、降雪時に、風によって形成される建物周辺の吹きだまりの形成要因の分析を可能にした。 2)吹きだまりを最小にすることを目的とした市街地形態に関するパラメトリックスタディ ・上記の1)で完成させた「積雪環境予測」を用いて、市街地形態に関わる建物の密度、隣棟間隔等のパラメータを系統的に変化させた数値解析に基づく積雪環境の数値予測を行い、積雪分布や融雪エネルギーの水平分布を求めた。 ・建物高さHと隣棟間隔Dの比H/Dが0.71になると、南北の建物間の融雪エネルギーのピーク値は120[W/m2]と,それよりもH/Dが小さい(隣棟間隔が広い)ケースのピーク値(約160[W/m2])に比べて3/4程度まで急減することがわかった。 3)積雪時の都市・建築空間における対流・放射の相互作用のメカニズムの検討 ・上記の2)の解析結果の分析を進め、積雪時の都市・建築空間における対流・放射の相互作用のメカニズムを明らかにした。建物南側では、短波放射と下向き長波放射による熱取得量が、顕熱や潜熱の輸送による熱取得に比べ大きいことが分かった。 ・これを踏まえ、都市・建築空間の積雪環境を形成する都市全体として吹きだまりを最小にする形態を明らかにした。建物高さHと隣棟間隔Dの比で一般化すると、0.50<H/D<0.6[-]のとき、すなわち,建物高さに対して1.75~2倍の隣棟間隔があれば,南北に並ぶ建物の間の領域の積雪量が最も小さくなる可能性の高いという結論を得た。
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