研究概要 |
2011年度の研究では「2次元ナノテンプレートを用いたナノプロセシング技術」の適用範囲の拡張をし、従来から研究されているナノホール加工やナノグルーブ(溝)加工でなく、新たに「金属ナノ突起アレー構造作製技術」への同技術の適用を提案した。金属薄膜に強く集光したフェムト秒レーザを照射することで針状もしくは球形粒子が先端に形成された突起形状のナノ突起構造が作製でき、これらの構造は電界放出デバイスなどへ応用されてきた。 本研究では、2次元金属ナノ突起アレー構造の周期および径のダウンサイジングを目的として、ナノホールテンプレートを用いた作製技術を提案した。ナノホールテンプレートに金薄膜を堆積させ、テンプレート背面より非集光フェムト秒レーザを照射することで、約400nmの周期で100nm径の2次元ナノ突起アレー構造が作製できることを実証した。得られた構造の周期および直径は回折限界以下のものである。数100nmの周期および径の2次元アレー金属ナノ構造は光の周波数の電磁波と共鳴的な干渉を起こすことが可能になるためプラズモンデバイスやメタマテリアル等への応用が可能である。 有限差分法を用いた電磁界の時間解析により、レーザ照射時にナノホール内部にて表面プラズモンが励起され、強い電界増強が得られることでナノ突起構造が作製されることを解明した。また、高いレーザフルエンスにてナノ突起構造先端に形成された球状粒子が射出することが分かり、同技術のレーザ転写技術(Laser-lnduced Transfer,LIT)への適用可能性が示唆された。更に、ガルバノスキャナを用いてテンプレート全体をレーザスキャンすることで、大面積に高スループットでナノ突起アレー構造を作製する技術を開発した。
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