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アルビノという経験―曖昧なディスアビリティをめぐる障害学研究の射程

研究課題

研究課題/領域番号 10J04863
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 社会学
研究機関立教大学

研究代表者

矢吹 康夫  立教大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2010 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2010年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
キーワードアルビノ / 遺伝学史 / 優生思想 / 萌え / 問題経験 / 対処戦略 / ライフストーリー
研究概要

2011年度の研究実績として、まず20世紀遺伝学~21世紀ゲノム学へといたる学説史のなかでのアルビノの位置づけを検討し、論文として発表した。アルビノは、20世紀初頭の遺伝学の黎明期においては表現型のわかりやすさからこぞって研究され、多数の症例報告や家系調査が蓄積された。また、基礎理論としての遺伝学を応用した優生学的実践においては、人びとを「悲嘆」させる「不幸」な遺伝性疾患の代表格として前面に押し出された。しかし、ゲノム時代に突入した21世紀には、表現型と遺伝子型の対応関係がはっきりしているアルビノが改めて注目されることはない。近代以降に医療化されることがなかったアルビノは、露骨な優生学的言説が鳴りを潜めた現在は、治療や出生予防といった身体・生殖に介入するような研究・実践から相対的に自由であることが明らかになったのである。
以上のような背景があるため、優生学的言説が影響力をもっていた戦前~戦後に生きた当事者の語りには独自の語り難さある。研究実績の2つめは、結婚を機に自らの判断によって優生手術を行ったアルビノ当事者(70代・男性)のライフストーリーを分析し、口頭報告したことである。彼が優生手術をした1970年代初頭は「不幸」な遺伝性疾患の子どもは生まれないほうがよいという考えはある種の「常識」として受け入れられていただろうが、現在から振り返って語るにあたっては、それが優生思想として批判の対象になることも彼は十分に自覚していた。そのため彼は「恵まれて育った」とくり返し、一貫して政治的なストーリーから距離をとり続けたのである。

報告書

(2件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 注目すべき表現型から注目に値しない遺伝子型へ-遺伝学史上におけるアルビノ2012

    • 著者名/発表者名
      矢吹康夫
    • 雑誌名

      立教大学大学院社会学研究科年報

      巻: 19 ページ: 7-18

    • NAID

      40019325549

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 強いられた「よい適応」-アルビノ当事者の問題経験2011

    • 著者名/発表者名
      矢吹康夫
    • 雑誌名

      応用社会学研究

      巻: 53 ページ: 213-226

    • NAID

      110008141764

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [雑誌論文] アルビノ当事者の「ゴーイング・マイ・ウェイ」-対処戦略の序列化を超えて2010

    • 著者名/発表者名
      矢吹康夫
    • 雑誌名

      日本オーラル・ヒストリー研究

      巻: 6号 ページ: 169-189

    • NAID

      110007811773

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 優生手術経験の語り難さ-アルビノ当事者のライフストーリーから2011

    • 著者名/発表者名
      矢吹康夫
    • 学会等名
      日本オーラル・ヒストリー学会第9回大会
    • 発表場所
      松山大学
    • 年月日
      2011-09-10
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] 対処戦略のジレンマ-アルビノ当事者のライフストーリーから2010

    • 著者名/発表者名
      矢吹康夫
    • 学会等名
      日本社会学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2010-11-06
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [図書] 手招くフリーク-文化と表現の障害学(第2章「アルビノ萌えの『後ろめたさ』からの逃走」)2010

    • 著者名/発表者名
      倉本智明編(矢吹康夫分担執筆)
    • 総ページ数
      308
    • 出版者
      生活書院
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

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