研究課題/領域番号 |
10J05090
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
市川 幸治 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 水素 / 白金 / ヒドロゲナーゼ / ヒドロゲナーゼモデル / 水素活性化 / 構造解析 / ニッケル / 鉄 / 水素活性化酵素 / 水中 / 生体金属元素 / ニッケル・鉄錯体 / 燃料電池 / 酸素極 / 人工触媒 / 生体触媒 |
研究概要 |
水素は、燃やしても生成するものは水のみという非常にクリーンなエネルギーであり、次世代のエネルギーとして注目されている。水素の発生および水素酸化反応は、工業的には白金電極が用いられている。一方、自然界では、[NiFe]ヒドロゲナーゼが、水素の発生および水素酸化反応を触媒する。このように自然界は、NiやFeのような地球上に豊富に存在する元素を用いて、高効率に水素代謝を行っている。ヒドロゲナーゼは、このように魅力的な機能を示すので、ヒドロゲナーゼの活性中心を模倣したモデル研究が数多くなされてきた。しかしながら、ヒドロゲナーゼの機能を有するモデル錯体はほとんどないのが現状である。したがって、ヒドロゲナーゼの魅力的な機能をもつモデル錯体の開発と新たな触媒系への応用研究というのは、非常に重要である(研究目的)。本研究では、ヒドロゲナーゼと同様の機能を有する[NiFe]錯体の合成、構造解析、反応性の評価を行った。ヒドロゲナーゼの休止状態モデルとして、新規[NiFe]アセトニトリル錯体を分子設計、合成した。このモデル錯体は、ルイス塩基であるMeONa存在化、常温で水素を活性化し、ヒドロゲナーゼ活性化状態と同じヒドリド種を与えることを見いだした。アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体のそれぞれを結晶として単離し、X線・中性子回折により構造を特定した。中性子構造解析の結果、ヒドリド錯体のヒドリドの位置は、Fe側に偏っていることが明らかとなった。さらに、ヒドリド錯体は、メチレンブルー、アクリジニウムにヒドリド移動反応を起こし、フェロセニウムイオン、メチルビオロゲンに電子移動反応を起こした。過去の[NiFe]ヒドロゲナーゼのモデル研究においては、[NiFe]錯体を用いて、水素を活性化し、基質を還元した研究例は一例も報告されていない。したがって、本研究は、[NiFe]モデル錯体を用いて、水素を活性化し、基質を還元することに世界で初めて成功した(本年度の研究成果)。本研究の成果は、生物無機化学において有用な知見と触媒化学において新たな扉を開くものであり、物質創造工学に寄与するところが大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
過去の[NiFe]ヒドロゲナーゼのモデル研究においてはべ[NiFe]錯体を用いて、水素を活性化し、基質を還元した研究例は一例も報告されていないが、本研究は、[NiFe]モデル錯体を用いて、水素を活性化し、基質を還元することに世界で初めて成功したから。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で開発したNiFe錯体を、白金の代替触媒として応用していく。
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