研究課題
特別研究員奨励費
地球の成層圏や中間圏における大気の運動を考える上で、大気重力波は必要不可欠な要素である。なぜなら、重力波が減衰すると、それの持つ運動量が背景場に解放されて、背景場の風速場に影響を与える。そして風速場の変化は大気の循環を促され温度場が変化する。また重力波が砕波すると乱流が生じ、大気中の物質輸送に作用することが理論的に示されている。重力波の性質を知る際に良く使われるのが、重力波の鉛直波数スペクトルである。地球気象ではレーダーやGPS掩蔽観測などにより、鉛直波数スペクトルが沢山取得されており、波の性質が全球的に理解ざれている。一方、地球型惑星である金星や火星でも重力波がそれらの大気の運動に大きく影響すると理論的に言われているが、観測が不十分であり性質も良く分かっていない。・本研究では、電波掩蔽観測から得られた鉛直温度分布を用いて、金星・火星の大気重力波の鉛直波数スペクトルを世界で初めて計算し、それの緯度依存性について調べた。また地球気象で構築された飽和理論スペクトルに立脚して、波の減衰機構の考察や飽和に伴う乱流拡散係数を推定した。スペクトルは金星・火星大気の高高度領域における運動の理論モデルの構築に利用される。また推定した乱流拡散係数は、金星・火星大気における光化学の分野で、重要なリファレンスとして活用されると期待する。
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