研究課題
特別研究員奨励費
細胞は周りの環境変化に対し様々な応答を示す。そのうち適応応答は、生物種に依らず共通してみられる応答の1つである。細胞は環境変化に応じて一旦その状態を変化させるが、一定の時間が経過すると変化前と同じ状態に戻る。この様に環境が変化しても同じ細胞状態を実現できる適応応答は、生物システムに固有の特性である恒常性と関係していると考えられ、重要な細胞応答の1つである。細胞内ではこの適応応答は、遺伝子/タンパク質発現量の変化によって実現されている。酵母を用いた最近の分析実験において、環境中1条件の変化に対し、数百という非常に多くの遺伝子/タンパク質発現量が一斉に適応的に変化することが示されている。一方理論研究では、少数の遺伝子のみから構成されるネットワークモチーフ上で適応応答を示すためのメカニズムはよく理解されてきたが、実際の生物の様に多くの遺伝子が関与するネットワーク上で適応応答を実現するためのメカニズムについは分かっていなかった。そこで本研究では、数値的に遺伝子制御ネットワークを進化させることを通して、大自由度のネットワーク上で適応応答を示すためのメカニズムについて考察をおこなった。その結果、ほぼ全ての遺伝子が適応応答を示すという実験でみられた振舞を再現することができた。さらに、そのネットワークは従来の少数ネットワークモチーフとは異なるメカニズムをもつことを示し、大自由度適応応答系の基礎となるロジックを明らかにした。
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