研究課題/領域番号 |
10J05450
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
科学社会学・科学技術史
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
金山 浩司 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | マルクス主義 / 全体主義 / 技術論論争 / 武谷三男 / 相川春喜 / 戦時下の知識人 / 弁証法的唯物論 / ソ連の科学技術 / 日本の左翼運動 / 哲学と物理学 / イデオロギーと科学 / スターリニズム / 物理学の哲学 / 国際情報交換 / ロシア・ソ連 |
研究概要 |
1940年代日本における技術論--技術とはどういう性格をもつものかという論点をめぐる--論争を、従来は知られていなかった当時の論者の論考を渉猟・精読しつつ、再構成する作業を行った。1930年代に日本の技術論論争はマルクス主義に傾倒していた論者たちの間でマルクス主義の概念装置を用いて行われており、戦後もこの傾向が引き継がれていたが、言論弾圧が苛烈化した1930年代後半から終戦までの時期の技術論論争史はよく調べられてこなかった。代表的論者の一人である相川春喜に着目することで、かつてマルクス主義に傾倒し「転向」した知識人の一部が、戦時下の日本でもてはやされた反機械論、全体論の観点--これはマルクス主義の基本的観点と相反するものではない--を技術論の中に持ち込むことで、従来の論争を換骨奪胎しつつ、また当時の状況下で要請されるような理論的装置を用いつつ、高度な言論活動を維持しようとしていたことが明らかになった。また、当時の相川の議論は高名な物理学者である武谷三男との討論を通じて一面においては鍛えられたものでもあり、これを精読することは戦後の武谷の技術論を再検討するうえでも役立つものである。こうした成果は2月、東京工業大学において開かれたセミナーの席上で口頭発表され、現在学会報告・論文化の準備を進めている。 また、ソ連と日本との科学哲学分野における知的交流についても若干の調査を行った。日本の物理学者坂田昌一が、最晩年(1960年代末)にソ連の科学哲学者オメリャノフスキーの慫憩に応じて素粒子論の哲学的問題に関する論考を執筆していたことが明らかになった。ロシア語で発表された同論考を訳とともに日本人読者に紹介する準備を進めている。 ソ連における物理学をめぐる哲学論争についてロシア史研究会年会において発表し、この内容を英語の論考にまとめ科学史の学術雑誌に投稿した。現在、査読結果に応じた修正を行ってしいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文の公刊は果たせなかったものの、日本、ソ連のそれぞれについて、資料調査に基づき、ひとつずつ論文を執筆している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き日本、ソ連双方の史料に基づく歴史の再構成に邁進する。 ソ連物理学論争史についての英語投稿論文を査読コメントに基づき修正し、公刊し、国際的に自らの研究成果を知らしめる。日本技術論論争史についても、日本語・英語の双方で論文を公刊する(今年夏に行われる国際学会ではこのテーマで発表する予定)。
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