研究課題
特別研究員奨励費
1.ベルベリン生合成系の新規遺伝子発現調節因子、新規転写因子の探索のために、GFP抗体を用いた共免疫沈降(Co-IP)、ならびにLC-MS/MS解析により転写因子の相互作用因子の同定を試みた。その結果、調節因子や転写因子のようなタンパク質は同定されなかったが、CjbHLH1,CjWRKY1ともに翻訳後修飾による制御を受けている可能性が示唆された。一方、ESTの再アノテーションとce11 1ine間での発現比較、さらに二本鎖RNAを用いた一過的RNAiスクリーニングを行ったが、新たな転写因子を得るにはいたらなかった。2.sGFP-CjbHLH1を導入したハナビシソウ培養細胞株を複数ライン確立し、ゲノムPCRやqRT-PCR解析、および抗CjbHLH1抗体を用いたウェスタン解析を行い、形質転換体におけるsGFP-CjbHLH1の発現を確認した。一方、サンギナリン生合成に関わる酵素遺伝子の発現量は、コントロールとの間に差は見られず、単独での過剰発現ではほとんど生合成系に影響が見られない可能性が示唆された。また、ハナビシソウCjbHLH1ホモログ、EcbHLH1の37bpRNAi発現抑制株も複数ライン確立し、抑制の強い株の選抜を進めている。3.ジャスモン酸シグナル伝達系に関わるMYC2ホモログやJAZがベルベリン生合成系の制御に関わるかどうかを調べるために、オウレン、ハナビシソウからそれぞれMYC2遺伝子を、さらにオウレンから2つのJAZ遺伝子を単離し、これらの遺伝子の発現がMeJAに対して応答することを確認した。また、ce11 1ine間でのCjMYC2遺伝子の発現比較やハナビシソウ植物体におけるEcMYC2の組織別発現解析を行ったが、生合成酵素遺伝子の発現との相関は見られなかった。さらに、一過的RNAiによるCjMYC2の発現抑制の影響は一部の生合成酵素遺伝子に限定されており、その抑制効果もCjbHLH1に比べると低かった。また、CjbHLH1やCjwRKY1の発現量には全く影響が見られず、これらの因子は独立に制御を受けている可能性が示唆された。一方、CjJAZについては一過的過剰発現により生合成酵素遺伝子の発現量が減少していたことから、リプレッサーとして機能していることが示唆された。
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International Review of Cell & Molecular Biology
巻: (印刷中)
Plant & Cell Physiology
巻: 52 号: 7 ページ: 1131-1141
10.1093/pcp/pcr062
Plant Signaling & Behavior
巻: 6 号: 11 ページ: 1627-1630
10.4161/psb.6.11.17599