研究課題/領域番号 |
10J05775
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八木 俊輔 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | FRET / ハイスループットスクリーニング / 薬剤スクリーニング / 上皮形態形成 / 管腔 / Racl / 癌 / 過形成 / Chn2 / chimaerin / 管腔構造 / Rhoファミリー低分子量G蛋白質 / 上皮極性 / 活性パターン / FRETイメージング / MDCK細胞 |
研究概要 |
昨年度までの研究により、3次元培養法を用いて形成させたMDCK細胞の管腔および、マウスの各組織に含まれる管腔において、上皮細胞の頂端部でRac1が不活性化することが見いだされた。またRac1の強制的な活性化により管腔の形態異常が引き起こされ、過形成様の異常な構造が形成される事と、上皮細胞の頂端部でRac1を不活性化する因子が消失した場合にRac1の過剰な活性化と管腔の形態異常が生じた事から、頂端部におけるRac1の不活性化が管腔の正常な形態の維持に必要である事が明らかになった。このことからRac1の活性化を阻害する事で、癌化や腫瘍化に伴う管腔組織の形態異常を抑制する事が可能になると示唆される。しかし現状ではRac1の活性化を抑制する阻害剤(低分子化合物)は存在しない。最終年度では上述の知見をもとに、Rac1特異的な阻害剤を探索するための化合物スクリーニングに用いるアッセイ系の開発を行った。本アッセイ系の開発に当たっては、まずRac1と同じ低分子量G蛋白質の一つであるRasの阻害剤を評価する系を確立し、その系をRac1阻害剤の評価系の確立に応用することとした。Ras阻害剤の標的としてRas-Raf間相互作用を選んだ。そのためRas-Raf間の相互作用を感度よく検出できるFRETバイオセンサー「Raichu-RasV12」をRas-Raf間相互作用阻害剤の評価系として用いた。電動ステージを備える蛍光顕微鏡を用い、96ウェルプレートの自動スキャニングシステムを作製した。またMetaMorphのジャーナルとMicrosoft Excelのマクロを組み合わせ、取得した大量の画像データを自動的に解析し、阻害効果のある化合物を高速に絞り込むシステムを構築した。まず本手法の有効性を検討するため1200検体の化合物を含む小規模のライブラリーを用いたパイロットスクリーニングを行った。HTSに用いるアッセイ系の評価として使われるZ'値を調べたところ、蛍光イメージングを行った15枚のプレート全てで基準となる0.5を大幅に上回る値が得られた。また阻害率のヒストグラムから全検体の値が正規分布に従って広がっており、プレート間あるいは実験日間でデータの偏りが見られない事が分かった。なおこのパイロットスクリーニングにおいては阻害率45%以上をヒット基準とし、ヒット化合物が得られている。現在、構築したアッセイ系を用い、理化学研究所と共同で数万検体の化合物をスクリーニングするHTSを行っている。またRac1阻害剤の開発に向けて、Rac1のFRETバイオセンサーであ るRaichu-Rac1を用いたアッセイ系の評価を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度末に提出した報告書の計画通りにRac1阻害剤の開発プロジェクトを始める事ができ た。Rac1の阻害剤はまだ開発できていないが、Ras阻害剤のスクリーニング系を開発した事で土台を構築する事ができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Ras-Raf間相互作用阻害剤をスクリーニングするためのHTS(数万検体)を理研で行うところである。先方で用いる機器や解析プログラムについては準備が整っており、現状では大きな問題はない。
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