研究課題/領域番号 |
10J05836
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松岡 健太 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 銀河 / 巨大ブラックホール / 共進化 / クェーサー / 化学進化 / 重元素量 |
研究概要 |
銀河はその中心に太陽のおよそ1億倍もの質量に達する巨大ブラックホールを持つことが知られており、この巨大ブラックホールと銀河の質量の間には非常に明瞭な相関があることが近年の研究によって明らかにされました(マゴリアン関係)。これは、銀河と巨大ブラックホールが互いに影響を及ぼし合いながら進化してきたことを示す極めて重要な観測結果です。私はこの『銀河と巨大ブラックホールの共進化』の謎に迫るために、平成24年度において以下のような研究を進めました。 これまで私が進めてきた研究によって明らかとなった、窒素輝線と巨大ブラックホールへの質量降着率の関係を応用して、銀河における星形成の活動性と巨大ブラックホールの成長の関係の調査を行いました。研究対象は窒素輝線超過クェーサーという窒素輝線が異常に強いクェーサー天体であり、これらはまさに巨大ブラックホールが急成長している段階のクェーサーであると期待される天体です。私はヨーロッパ南天天文台が所有するNTT望遠鏡により独自に取得した、窒素輝線超過クェーサーの分光データを解析しました。その結果、私は窒素輝線超過クェーサーは質量降着率の高い、すなわち巨大ブラックホールが急成長中であることを明らかにしました。本研究成果は現在、論文誌Astronomy & Astrophysicsへの投稿に向けて準備中です。また、本研究成果は研究会Metals in Tuscany 2012にて招待講演として発表しました。 さらに私はKavli IPMUのJohn Silverman氏等との共同研究によって、高赤方偏移中光度クェーサーを用いた巨大ブラックホール質量推定方法の調査を行いました。すばる望遠鏡の多天体赤外分光観測装置FMOSによって得られた高赤方偏移中光度クェーサーの分光データを解析し、バルマー輝線を用いた巨大ブラックホールの質量推定を行った結果、高赤方偏移中光度クェーサーに対しても近傍宇宙におけるクェーサーと同様の質量推定方法が適用可能であることを明らかにしました(本研究成果は論文誌The Astrophysical Journalへ投稿済)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画の中で予定していた、「窒素輝線超過クェーサーから探る銀河の星形成と巨大ブラックホールの成長の関係」および「高赤方偏移中光度クェーサーを用いた巨大ブラックホール質量推定方法の調査」に両者に関して既に研究成果を上げることができており、論文投稿も順調に行っていることから当初の計画通りに推進できていると言える。さらにソウル大学のJong-Hak Woo氏との共同研究によって銀河の星形成と巨大ブラックホール成長に関する新たな研究を展開しており、これらを考慮に入れると当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
「窒素輝線超過クェーサーから探る銀河の星形成と巨大ブラックホールの成長の関係」および「高赤方偏移中光度クェーサーを用いた巨大ブラックホール質量推定方法の調査」の論文化を早急に終わらせた後、これらの研究成果を生かして、銀河の星形成と巨大ブラックホールの成長の関係についてさらなる研究を進めて行く。窒素輝線超過クェーサーを用いた研究に関しては、本研究をさらに発展させた内容で現在ヨーロッパ南天天文台が所有する大型望遠鏡等へ観測提案を提出しており、順調に研究を拡張して『銀河と巨大ブラックホールの共進化』の謎に迫ることができている。
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