研究課題/領域番号 |
10J05848
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
スポーツ科学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岩沼 聡一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2010年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 思春期 / 下腿三頭筋 / アキレス腱 / 足アーチ / 筋骨格系 / 筋腱複合体 / ヒト生体 / 発育発達 / 腱組織 / 足部縦アーチ / 関節トルク / 柔軟性 / MRI法 |
研究概要 |
人間の筋骨格系の発育は、特に思春期において著しいが、骨格と筋は平行して発育しない。骨の縦方向への発育スパートが筋腱複合体の縦方向の発育スパートより早い時期において、筋・腱は骨に引っ張られる状態となり、筋腱複合体の両端(骨端)に過剰なストレスがかかると考えられている。しかし、思春期におけるそれらの特性に関する報告は稀である。そこで本研究では、思春期前後における筋腱複合体の形態的特性および力学的特性の変化を明らかにすることを目的とした。思春期に起こる整形外科的障害の一つとして踵骨骨端症が挙げられる。そこで、その障害に関与すると考えられる下腿三頭筋腱(アキレス腱)および足部縦アーチについて着目した。まず初年度は、計測方法を確立した上で、一般成人男女を対象に各データを取得した。被験者には複数の足関節角度にて安静および指定の強度での等尺性足関節底屈トルク発揮を指示し、その際の各部位の形状を計測した。等尺性足関節底屈トルクの計測には、光ファイバひずみ計を用いた。安静時および筋収縮時の各部位の形状の撮像には磁気共鳴撮像法を用いた。取得したデジタル画像から、画像分析ソフトウェアを用いて形状や標認点の座標をそれぞれ計測し、表計算ソフトウェアを用いて各部位の伸びや変形を算出した。続いて、2年目(最終年度)は、初年度で確立した方法を用い、思春期の中学生および思春期前の小学生を対象に同様の計測を実施した。以上の計測から、1)アキレス腱は外部腱部分のほうが腱膜部分より伸びが大きいこと、2)下腿三頭筋の長さ変化にはアキレス腱の伸びよりも足アーチの変形による影響が大きいこと、3)思春期以前は成人と比べて、足アーチの変形が大きいこと、4)思春期以前の足関節角度変化に対する筋腱複合体長変化は成人と比べて小さく、この差は形態的特性による影響よりも力学的特性による影響が大きいこと、が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた対象および計測項目にてデータを取得することができ、その成果は国内学会にて4件(日本体育学会、日本超音波骨軟組織学会、日本バイオメカニクス学会、日本発育発達学会)発表し、国際学術誌に2件(Journal of Applied Physiology、Journal of Biomechanics)発表することができたため。本研究期間中に東日本大震災があったが、その影響は少なく、データ取得においては多少の時期のずれ込みはあったものの大きな問題とならなかった。ただし、震災の影響で国際学会への成果発表を見送ったことが、当初の計画を達成しなかった点である。なお、期間終了後ではあるが、国際学会および国際学術誌にて発表し、この点を達成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、足アーチの力学的特性が筋腱複合体の伸びに大きく寄与することを明らかにした。思春期を含む発育期の足アーチの力学的特性には、足アーチを構成する結合組織の力学的特性のみならず、骨化していない軟骨部分の力学的特性も関与していることが予想される。そこで、今後は足部内部の軟骨部分にも着目し、発育に伴う足アーチの形態的特性および力学的特性を検討していくことで、本研究課題をさらに発展させていくことができると考えられる。今後の研究を遂行するにあたり、これまでと同様の非侵襲的な実測に加え、足部内のストレス分布を明らかにするためにシミュレーションも取り入れていくことが望まれる。
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