研究課題/領域番号 |
10J05895
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
衛生学
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
横田 理 東京理科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | ディーゼル排ガス / 金属ナノ粒子 / 脳神経系 / 表面化学 / コロナ / 健康影響 / ナノテクノロジー / ナノ粒子の体内動態 |
研究概要 |
これまでに、ディーゼル排ガスやディーゼル排気微粒子、酸化チタンナノ粒子を曝露させるとモノアミンなどの神経伝達物質の変動や学習機能の低下が認められていた。病理学的な所見からも脳血管周囲に障害が多く認められており、血管が障害されることによって脳神経系が障害を受け、行動にまで影響が認められる可能性が示唆されていた。しかし、ナノ粒子が脳内に移行した量やそれと関わる細胞の同定はできておらず、エンドポイントの原因がよく分からなかった。また、ナノ粒子の曝露量の最適化と直接脳内にどれだけ移行するのかを評価した研究はほとんどない。ナノ粒子の健康影響評価を適切に行うためにはエンドポイントを押させるだけでなく、ナノ粒子の体内動態並びにナノ粒子が到達しうる細胞や脳領域の把握が重要である。そこで本年度は表面修飾した金属ナノ粒子を蛍光標識して、マウスの脳内をしらみつぶしに評価した。具体的には、金属ナノ粒子の表面を両親媒性物質で修飾させ、それに蛍光標識を施した(コロナ)。ナノ粒子の細胞認識並びに輸送経路には、ナノ粒子の表面が重要であると仮説をたてて研究を進めた。その結果、ナノ粒子の蓄積は大脳皮質、線条体、小脳に特徴的であった。さらに、脳内に移行したナノ粒子の大半は血管内皮細胞やグリア細胞であった。この結果は、ナノ粒子の物性・性状、及びナノ粒子に含まれる物質で毒性を及ぼすか否かが決定され、表面の情報を明確化させることで、ナノ粒子と関わる細胞の姿が明らかになることが示唆された。これによって、ナノ粒子の健康影響だけでなく、その予防法、さらにはドラッグデリバリーシステム等のナノ粒子健康科学のさらなる発展が望まれる成果を挙げることに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、ナノ粒子の毒性評価、特にエンドポイントを中心に評価していたが、ナノ粒子を蛍光標識させたことで、ナノ粒子と直接関わる細胞をin vivoで明らかにできた。これによって、ナノ粒子の健康科学の一端を明らかにし、予防策の提示に貢献できる一つの形を示すことに成功したと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の課題として、ナノ粒子が生体内に入った後に生体分子と相互作用するのか、明らかにできる方法論が未だ確立できていない。In vitroでは、ナノ粒子の表面に血清成分が吸着されることが示されているものの、今回私が行った研究においては生体内にナノ粒子が入った際にどのような生体分子と相互作用しているのかを明らかにすることはできていない。In vivoでナノ粒子の情報を抽出する方法の開発を試みて、ナノ粒子の複合(コロナ)の理解に努める必要がある。
|