環状オキシムの還元的環拡大反応を用いるメルシカルピン及びシャルテリン類の合成研究

• 研究課題/領域番号: 10J06216
• 研究種目: 特別研究員奨励費
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 国内
• 研究分野: 化学系薬学
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 岩間 雄亮 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
• 研究期間 (年度): 2010 – 2012
• 研究課題ステータス: 完了 (2012年度)
• 配分額: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円); 2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円); 2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円); 2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
• キーワード: 還元的環拡大 / DIBALH / 医薬品候補化合物 / 多置換複素環化合物 / ジベンゾジアゼピン骨格 / ジベンゾアゾシン骨格 / オキシム / 酸化的骨格転位反応 / Mersicarpine / 不斉全合成 / インドールアルカロイド / 環拡大反応 / 全合成

研究概要

DIBALHを用いたオキシムの還元的環拡大反応は、医薬及び医薬候補化合物の母核として用いられる芳香族環状第二級アミンを簡便に合成できるため、医薬の短工程かつ効率的な合成を可能とし、創薬における実用的な合成法として期待されている。昨年度、申請者は本方法論を用い、(-)-mersicalpine(1)の不斉全合成を達成した。すなわち、これまで研究してきた環状オキシムの還元的環拡大反応によるアゼピノインドール骨格の一挙構築を鍵とする、6ポット、9工程、総収率30%での不斉全合成を達成した。今年度は、本鍵反応のさらなる有用性を実証するため、主に二つの医薬候補化合物の合成に精力的に取り組んだ。研究実施計画に従い、それぞれジベンゾジアゼピン骨格およびジベンゾアゾシン骨格を効率的かつ独創的に構築することに成功した。AVP受容体拮抗剤の合成では、環拡大反応の基質であるオキシムの合成が困難であったが、亜硝酸t-ブチルとKHMDSの試薬の組み合わせが有効であることを見出すことができた。前立腺癌治療剤の合成においては、基質となるオキシムの芳香環に電子供与性基としてメチルチオ基を導入することで、高い位置選択性で環拡大反応が進行することを見出した。本反応は、わずかな電子密度の差で転位選択性を制御し擬対称化合物を非対称化できることから、多置換複素環化合物の選択的合成法として期待される。

研究成果

• [雑誌論文] Construction of Dibenzazocine Skeleton by Regiocontrolled Ring-expansion Reaction of Cyclic Oxime with DIBALH : Facile Synthesis of 17β-Hydroxysteroid Dehydrogenase Type 3 Inhibitor (2013)
  • 著者名/発表者名: Hidetsura Cho, Yusuke Iwama, Kentaro Okano, Hidetoshi Tokuyama
  • 雑誌名: Synlett 巻: 24 号: 07 ページ: 813-816
  • DOI: 10.1055/s-0032-1318489
  • 査読あり
• [雑誌論文] Enantiocontrolled Total Synthesis of (-)-Mersicarpine (2013)
  • 著者名/発表者名: Yusuke Iwama, Kentaro Okano, Kenji Sugimoto, Hidetoshi Tokuyama
  • 雑誌名: Chemistry-A European Journal 巻: 19(印刷中) 号: 28 ページ: 9325-9334
  • DOI: 10.1002/chem.201301040
  • 査読あり
• [雑誌論文] Concise Total Synthesis of(-)-Mersicarpine (2012)
  • 著者名/発表者名: Yusuke Iwama, Kentaro Okano, Kenji Sugimoto, Hidetoshi Tokuyama
  • 雑誌名: Organic Letters 巻: 14 号: 9 ページ: 2320-2322
  • DOI: 10.1021/ol300735g
  • 査読あり
• [雑誌論文] Ring-Expansion Reaction of Oximes with Aluminum Reductants (2012)
  • 著者名/発表者名: Hidetsura Cho, Yusuke Iwama, Nakako Mitsuhashi, Kenji Sugimoto, Kentaro Okano, Hidetoshi Tokuyama
  • 雑誌名: Molecules 巻: 17 号: 6 ページ: 7348-7355
  • DOI: 10.3390/molecules17067348
  • 査読あり
• [雑誌論文] Biomimetic Total Synthesis of (+)-Gelsemine (2012)
  • 著者名/発表者名: Xuan Zhou, Tao Xiao, Yusuke Iwama, Yong Qin
  • 雑誌名: Angew.Chem.Int.Ed 巻: 51 号: 20 ページ: 1-5
  • DOI: 10.1002/anie.201201736
  • 査読あり
• [雑誌論文] Regiospecific Rearrangement of Hydroxylamines to Secondary Amines using Diisobutylaluminum Hydride (2011)
  • 著者名/発表者名: Hidetsura Cho, Kenji Sugimoto, Yusuke Iwama, Nakako Mitsuhashi, Kentaro Okano, Hidetoshi Tokuyama
  • 雑誌名: Heterocycles 巻: 82 ページ: 1633-1644
  • 査読あり
• [雑誌論文] Regioselective Synthesis of Heterocycles containing Nitrogen Neighboring an Aromatic Ring by the Reductive Ring Expansion using Diisobutylaluminum Hydride (DIBALH) and Studies on the Reaction Mechanism (2010)
  • 著者名/発表者名: Hidetsura Cho, Yusuke Iwama, Kenji Sugimoto, Seiji Mori, Hidetoshi Tokuyama
  • 雑誌名: Journal of Organic Chemistry 巻: 75 ページ: 627-636
  • 査読あり
• [学会発表] 水素化ジイソブチルアルミニウムを用いたオキシムの還元的環拡大反応を鍵とする医薬候補化合物の合成 (2012)
  • 著者名/発表者名: 長秀連, 岩間雄亮, 岡野健太郎, 杉本健士, 徳山英利
  • 学会等名: 第30回メディシナルケミストリーシンポジウム
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2012-11-28
• [学会発表] 還元的環拡大反応を鍵とする(-)-Mersicarpineの全合成 (2012)
  • 著者名/発表者名: 岩間雄亮, 岡野健太郎, 杉本健士, 徳山英利
  • 学会等名: 第10回次世代シンポジウム
  • 発表場所: 大阪
  • 年月日: 2012-05-12
• [学会発表] (-)-Mersicarpineの全合成 (2012)
  • 著者名/発表者名: 岡野健太郎, 岩間雄亮, 杉本健士, 徳山英利
  • 学会等名: 日本薬学会第132年会
  • 発表場所: 札幌
  • 年月日: 2012-03-31
• [学会発表] Reductive Rearrangement of Ketoximes with DIBALH and its Synthetic Applications (2011)
  • 著者名/発表者名: Yusuke Iwama, Kentaro Okano, Kenji Sugimoto, Nakako Mitsuhashi, Seiji Mori, Hidetsura Cho, Hidetoshi Tokuyama
  • 学会等名: Tohoku University Global COE Program Summer School
  • 発表場所: 仙台
  • 年月日: 2011-08-19
• [学会発表] Mersicarpineの合成研究 (2011)
  • 著者名/発表者名: 岩間雄亮, 岡野健太郎, 杉本健士, 徳山英利
  • 学会等名: 第46回天然物化学談話会
  • 発表場所: 静岡
  • 年月日: 2011-07-08
• [学会発表] 水素化ジイソブチルアルミニウムを用いたオキシムの還元的転位反応の一般性および反応機構 (2010)
  • 著者名/発表者名: 岩間雄亮
  • 学会等名: 第25回有機合成化学若手研究者の仙台セミナー
  • 発表場所: 仙台
  • 年月日: 2010-12-04
• [学会発表] アルミニウム還元剤を用いたオキシムおよびヒドロキシルアミンの還元的環拡大反応による含窒素複素環化合物の位置選択的合成 (2010)
  • 著者名/発表者名: 長秀連, 三橋那佳子, 岩間雄亮, 杉本健士, 岡野健太郎, 徳山英利
  • 学会等名: 第40回複素環化学討論会
  • 発表場所: 仙台
  • 年月日: 2010-10-14
• [学会発表] Regioselective Rearrangement of Ketoximes with DIBALH and its Mechanistic Studies (2010)
  • 著者名/発表者名: Yusuke Iwama, Kenji Sugimoto, Seiji Mori, Hidetsura Cho, Hidetoshi Tokuyama
  • 学会等名: Tohoku University Global COE Program Summer School
  • 発表場所: 仙台
  • 年月日: 2010-08-20
• [学会発表] 水素化ジイソブチルアルミニウムを用いたオキシムの還元的転位反応の一般性および反応機構 (2010)
  • 著者名/発表者名: 長秀連, 岩間雄亮, 杉本健士, 森聖治, 徳山英利
  • 学会等名: 第97回有機合成シンポジウム
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2010-06-19
• [学会発表] 水素化ジイソブチルアルミニウムを用いたオキシムの還元的転位反応の一般性および反応機構 (2010)
  • 著者名/発表者名: 岩間雄亮, 杉本健士, 森聖治, 長秀連, 徳山英利
  • 学会等名: 第21回万有仙台シンポジウム
  • 発表場所: 仙台
  • 年月日: 2010-06-05
• [学会発表] Regioselective Synthesis of Heterocycles Containing Nitrogen Neighboring an Aromatic Ring_using Diisobutylaluminum Hydride (DIBALH) and Studies on the Reaction Mechanism (2010)
  • 著者名/発表者名: Hidetsura Cho, Kenji Sugimoto, Yusuke Iwama, Nakako Mitsuhashi, Kentaro Okano, Seiji Mori, Hidetoshi Tokuyama
  • 学会等名: The 21st French-Japanese Symposium on Medicinal and Fine Chemistry
  • 発表場所: 京都
  • 年月日: 2010-05-10
• [備考]
  • URL: http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seizou/index.html
• [備考]
  • URL: http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/4d4bfe65cfe518ffb3fd35362e512efl.html
• [備考]
  • URL: http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/4d4bfe65cfe518ffb3fd35362e512efl.html