研究課題/領域番号 |
10J06338
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
国田 勝行 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | HT-1080細胞 / 細胞遊走 / RhoファミリーGタンパク質 / イノシトールリン脂質 / 画像解析 / 相関解析 / 全適応性 / 数理シミュレーション / 細胞運動 |
研究概要 |
細胞遊走は胎発生、創傷治癒、癌細胞の浸潤・転移などを規定する重要な生命現象の一つである。これまでに細胞遊走に関与する多くの分子が生化学・分子生物学的な手法により同定されてきた。しかし、それらの動的ネットワークは未だ十分には明らかにされていない。本研究では、ヒト線維肉腫由来HT-1080細胞のライプビデオ画像を統計信号解析し、細胞遊走を制御する分子ネットワークの解明を試みた。まずRhoファミリーGタンパク質(RhoA、Rac1、Cdc42)の活性とフォスファチジルイノシトール3リン酸の局在をFRETバイオセンサーを用いてライブイメージングを行った。これらのビデオ画像を用いて細胞膜の伸張・退縮を定量化し、自己相関解析を行ったところ、自発的な細胞遊走過程の中に振動や伝播という秩序パターンが存在することを明らかにした。次に、細胞の形態変化の分子活性に対する相互相関解析を行い、細胞が伸張(または退縮)してから、約2分後にRac1の活性化(または不活性化)が起きることを明らかにした。さらにこの時間遅れの分子ネットワークを明らかにするために、阻害薬を用いた摂動解析と数値モデルの探索を行った結果、F-アクチンからRac1への正のフィードバック及びRac1からF-アクチンへの負のフィードバックの存在が示唆された。さらに、ミオシン軽鎖キナーゼKがRac1からF-アクチンへの負のフィードバックを介在していることも明らかにした。この2つの正と負のフィードバック経路は、自発的な細胞遊走過程の自己組織化を再現するモデルにおいて重要な役割を果たすと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究自体は、計画書に記載した年次計画通りに期間的な遅れもなく十分に遂行する事が出来た。動画データの取得、画像解析、数理モデリングといった横断的な科学技術に基づいた研究の流れは、本課題の大きな特色の一つである。この事を実現できたことは非常に大きな成果だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は、細胞生物学、バイオイメージング、画像解析、数理モデリングといった多岐分野にまたがった横断的な研究課題の一つである。本件のような様々な分野にまたがった研究が、(システム生物学を含む)学際領域における一つのモデル研究として後進の研究課題に提示されることを願っている。
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