研究課題
特別研究員奨励費
ALG-2がカルシウム依存的に結合するPLSCR3のII型モチーフは、ALIXなどのI型モチーフの結合部位とは異なる部位に結合することが変異体を用いた解析より推測されていた。既知のALG-2の立体構造をタンパク質表面上の疎水ポケットを予測するコンピュータープログラムを用いて解析したところ、新たなポケットが見出され、PLSCR3のII型モチーフの仮想ペプチド構造とのドッキングシミュレーションによって、このポケットにII型モチーフが結合する可能性が示唆された。結合に関与する可能性のあるアミノ酸を別の残基に置換したALG-2変異体を調製し、PLSCR3との結合を解析したところ、予想されたように結合能の低下が観察され、シミュレーション結果が正しいことが強く示唆された。PLSCR3はシグナルペプチドをもたないが、細胞外に分泌されることをすでに見出していたが、その形態をより詳細に解析した。分泌されたPLSCR3は10万g沈殿画分に回収され、プロテアーゼ抵抗性、界面活性化剤存在下でのプロテアーゼ感受性、10万g沈殿画分のショ糖密度勾配超遠心解析より算出される密度より、PLSCR3はエクソソームに存在することが判明した。PLSCR3にはシグナルペプチドが存在しないため、小胞体・ゴルジ体を経ずに別のメカニズムによって分泌されることが想定された。PLSCR3の細胞内局在解析により、PLSCR3は多胞性エンドソームを経由して細胞外に放出されることが示唆された。また、PLSCR3のパルミチン酸付加部位の変異体は分泌されず核に移行することも分かった。ALG-2結合部位の欠損変異体も分泌されることから、ALG-2は分泌に対して直接には関与していないと思われる。
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