研究課題/領域番号 |
10J06613
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
認知科学
|
研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
野口 尚子 (入江 尚子) 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2012
|
研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 数量認知システム / 種間比較 / アジアゾウ / タッチパネル / 長鼻目内の種間比較 / 数量認知能力 / 低周波音コミュニケーション |
研究概要 |
【研究の具体的内容】 引き続きアジアゾウの数量情報再現能力について検討した。今年度実施した実験は次の2つである。 (1)タッチパネルを使用した相対的数量判断課題 上野動物園においてタッチパネルを用いた実験を再び実施しデータを追加した。実験内容は、画面に異なる数のアイテムが描かれた2つの図を提示し、アイテム数が多い図を選択するという相対的数量判断課題を行なった。実験は3月初めに終了し、現在データの分析を終え、論文を投稿中である。 (2)タッチパネルを使用した相対的数量判断課題~多角形の角数の大小判断~ 画面に角の数の異なる多角形を2つ提示し、角の数が多い方が選択するという相対的数量判断課題を追加実施した。こちらについては現在データの分析を行なっている。 【研究の重要性と意義】 2012年冬に、アフリカゾウが他種と同様の数量認知システムであることを示す研究がアメリカのチームにより発表され、彼らはアジアゾウの結果についても再検討が必要だと主張し、学会で議論が繰り広げられている。しかし、本研究により、やはりアジアゾウについては他種と異なる数量認知システムが進化している可能性が再確認された。したがって、今後はアジアゾウとアフリカゾウの比較研究を行なうことで、どのようにして両種間で異なる数認知システムが進化したのかについて検討するという新たな課題が浮かび上がった。また、ゾウで使用できるタッチパネル装置の開発により、同様の実験をアフリカゾウでも行ない、直接的な比較研究ができると考える。さらに、ゾウ以外の大型哺乳類を対象とした認知実験が可能となり、霊長類以外の動物の認知研究に大きく貢献できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アフリカゾウを対象としたタッチパネル実験も実施できたらなおよかったが、アジアゾウの実験については有益なデータが得られ、論文も投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要でも述べたが、現在、アジアゾウの数認知の特異性について、学会で広く議論がされており、中には批判的な意見もある。今年度の研究により、批判に対し客観的に応えることはできたが、アフリカゾウとアジアゾウの数認知の相違については今後、どのように進化してきたのかを検討する必要があると考える。今後はアフリカゾウを対象に、タッチパネルを用いた同様の手法で実験を行ない、データの直接比較検討をすることが望ましい。 ただし、国内動物園ではアフリカゾウの被験体の確保が難しいと考えられるため、海外の研究者と共同研究することを検討したい。
|