研究課題/領域番号 |
10J06641
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 良明 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | パッチクランプ法 / Ca^<2+>活性化K^+チャネル(BKチャネル) / 軟骨細胞 / 全反射蛍光顕微鏡(TIRFM) / 共焦点レーザー顕微鏡 / 蛍光イメージング / 血管平滑筋 / Ca^<2+>マイクロドメイ / カベオリン / 電位依存性Ca^<2+>チャネル / Ca^<2+>マイクロドメイン |
研究概要 |
(1)カベオリン3(cav3)は骨格筋において筋構造の形成・維持に重要な因子であり、肢帯型筋ジストロフィーの原因遺伝子となる。BKチャネルは近年、骨格筋において機能発現し、興奮性制御に寄与すると報告されている。本研究では、HEK細胞を用いて、BKチャネルとcav3の関係を解明することを目的とした。蛍光標識したBKチャネル(BKα-mCh)とcav3(GFP-cav3)をHEK細胞に共発現させTIRF顕微鏡で可視化解析したところ、両者が共局在し一体としての挙動を示した。また、BKα-YFPとCFP-cav3の間でFRETが観測された。BKαのC末端にあるcav1 binding motif(^<1072>YNMLCFGIY^<1080>)を欠損させた変異体(BKαΔCB-YFP)とCFP-cav3の間のFRET効率はBKα-YFPと比べて有意に減弱した。また、共免疫沈降の結果からも、両者がcavlbinding motifを介して分子間相互作用を有することが示唆された。以上より、cav1と同様、cav3もBKチャネルの細胞膜発現あるいは機能を修飾すると考えられる。 (2)ヒト軟骨肉腫由来細胞から同定したBKチャネル新規バリアント体(BKαΔe2)の生理的機能を明らかにすることを目的とした。BKαΔe2及びBKαの細胞外N末端にFLAG、細胞内C末端にmCherryを融合させた変異体を作製した(F-BKαΔe2-mCh及びF-BKα-mCh)。これらをHEK細胞に発現させ、ホールセルパッチクランプ法によってBKチャネル電流を測定したところ、F-BKαΔe2-mCh発現細胞ではBKチャネル電流は観測されなかった。抗FLAG抗体でFLAGを検出し、各BKα変異体が細胞膜に発現するかを調べた。その結果、F-BKαΔe2-mChは細胞膜に移行しなかった。両者をHEK細胞に共発現させてホールセル電流を解析した結果、BKαΔe2はBKaのチャネル機能を抑制した。また、ヒト軟骨組織においてBKαΔe2のmRNA発現が示唆された。以上より、BKαΔe2は軟骨細胞においてBKチャネルの機能的発現量を抑制し、細胞内カルシウム動態を制御する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BKαΔe2が単独ではイオンチャネル機能を示さないこと、及び野生型のBKαと四量体を形成してその機能を抑制することが明らかとなった。また、ヒト由来の軟骨組織においてmRNAレベルで発現することも示唆された。以上のようにBKαΔe2の生理機能が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
BKαΔe2の欠損領域のどの部分が細胞膜発現あるいは野生型BKαの機能修飾に重要であるか解明する。 また、培養軟骨細胞を用いて、BKαΔe2が細胞増殖や基質産生のような軟骨細胞の機能に対して影響を及ぼすのか解明する必要がある。更に、変形性膝関節症や関節リウマチなどの疾患モデル動物または患者由来の軟骨組織において、BKαΔe2のmRNA量及びBKチャネル機能現が変化するか明らかにすることが重要である。
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