研究課題/領域番号 |
10J06850
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
大瀧 博文 岐阜大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | Hepatitis B virus / 劇症肝炎 / IDO / 急性肝炎 |
研究概要 |
平成23年度は、昨年度に引き続きHepatitis B virusトランスジェニック(HBVTg)/indoleamine2,3-dioxygenase(IDO)-wild-typeマウス及びHBVTg/IDO-knockoutマウスにおいてHBV特異的細胞障害性T細胞(CTL)を移入することにより発症する劇症肝炎の評価を行った。本モデルでは、IDOの欠損による炎症の軽減を組織像及びalanine aminotransferase (ALT)値にて確認した。そして、炎症性サイトカイン及びケモカインの産生においてもIDOの欠損による減少が認められた。さらに、トリプトファン代謝産物であるキヌレニン投与はCTL誘導性肝障害を増悪させたことから、キヌレニン以下のトリプトファン代謝産物は肝細胞に対して障害的に作用していることが考えられた。これまでにHBV特異的CTLはHBV感染細胞を認識すると即時にIFN-_Yを放出し、また、HBVTgマウスの肝細胞はIFN-_Yによる障害を受けやすいことが証明されている(Ito H et al. J Immunol, 182: 391-397,2009)。よって、HBV特異的CTL誘導性肝障害はIFN-_Yとキヌレニン以下のトリプトファン代謝産物が肝炎の重症化に重要な因子であることが考えられた。また、IDO阻害剤である1-methyltryptophan(1-MT)の投与は肝障害を軽減したことから、HBV感染による劇症肝炎の治療に1-MTが有効である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IDOの代謝産物であるキヌレニンの投与はCTL誘導性肝障害の増悪を招くことを証明し、更に、HBVTg/IDO-KOマウスに対するIFN-γとキヌレニンの併用刺激が肝障害の悪化を引き起こすことを確認した。すなわち、CTLが抗原感作により放出するIFN-γとキヌレニンが肝障害の増悪因子であることを示した。また、HBVTg/IDO-WTマウスに対するIDO阻害剤の投与は肝障害を軽減したことから、HBV感染による劇症肝炎の治療にIDO阻害剤が有効である可能性を示した。本研究では、肝障害におけるIDO及びその代謝産物の役割の概要が明らかにし、また新規治療法の可能性も示されたことから、順調に研究が進展したものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
キヌレニンの投与は本モデルにおいて肝炎を悪化させたが、どのようなメカニズムで肝細胞に対して障害的に作用しているかを解明する必要がる。細胞死に関わるシグナル分子をウエスタンブロット法等で調査することが良いと考えられる。
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