研究課題/領域番号 |
10J07072
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
計測工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
水野 洋輔 東京工業大学, 精密工学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ポリマー光ファイバ / プラスチック光ファイバ / ブリルアン散乱 / 光ファイバセンサ / 非線形現象 / 多モード光ファイバ / 分布型センサ / 温度・歪センサ / 光ファイバセンシング / ブリルアン光相関領域リフレクトメトリ |
研究概要 |
ポリマー光ファイバ(POF)を用いた高機能計測技術の確立に向け、本年度は、1、POF中の誘導ブリルアン散乱の観測、2、コア径縮小によるブリルアン散乱光の強度向上、3、音速実測によるブリルアン特性推定法の確立、4、シリカファイバとPOFの高効率な結合手法の開発、5、POF端におけるフレネル反射の特性解析、6、ファイバ端の誘電体多層膜を用いた屈折率センサの開発、などを行った。1:昨年度、全フッ素化屈折率傾斜型POF中の自然ブリルアン散乱光の観測に世界で初めて成功し、従来不可能であった歪に依存しない高精度な温度センシングへの応用可能性を示した。しかし実用のためには、POFからのブリルアン散乱光の強度を向上させる必要があった。そこで、ポンプ・プローブ法を用いて自然ブリルアン散乱を誘導ブリルアン散乱に遷移させることで、その強度を大幅に向上させることに成功した。2:従来の120μmよりも小さい62.5μmのコア径を持つPOFを入手し、特性を調査することにより、POFのコア径および長さのブリルアン信号への影響を解明した。3:全フッ素化されていない一般のアクリルで構成されたPOFは、低損失となる波長帯が可視光領域にあるためブリルアン散乱光を直接観測することは困難である。そこで、POF中の音速を実測し、その結果からブリルアン周波数シフトを推定する手法を提案、確立させた。4:シリカファイバとPOFの高効率な結合を、ブリルアン散乱による反射光強度のモニタリングにより実現した(特許申請済)。5:POF端のフレネル反射はシリカファイバよりも大きく、ブリルアン散乱スペクトルに与える影響が大きいことを実験的・理論的に示した。6:ファイバ端に蒸着した誘電体多層膜の反射中心波長が外部の屈折率に依存することを利用し、液体・気体・固体に対して利用可能な屈折率センサを開発した(特許申請済)。これらの研究成果の一部は、ドイツ連邦材料試験研究所においてKrebber博士の指導の下行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、極めて困難と思われていた多モードのポリマー光ファイバ(POF)中のブリルアン散乱光の観測と制御に成功し、世界中の関連研究機関から興味を持って頂いている。そのため、本年度は、招待論文執筆2件と国際会議での招待講演1件を依頼された。また、ドイツ連邦材料試験研究所のKrebber博士のチームから共同研究を依頼され、2ヶ月弱の間現地に赴き、POFのブリルアン散乱のセンサ応用に関する研究を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
今度は、実際に分布型計測を実現することが一番の課題である。そのためには、まず、ブリルアン光時間領域反射計(BOTDR)の実験系を構築し、POFを用いた場合にどの程度の性能が得られるかを検証する必要がある。また、空間分解能やSN比など各種性能を向上させるために、ブリルアン光時間領域解析法(BOTDA)やブリルアン光相関領域解析法(BOCDA)を導入することも併せて検討している。そのためには、ロックイン検波を用いないポンプ・プローブ法による誘導ブリルアン散乱への遷移の実現や、単一モードのPOFの入手が求められる。さらにこれらと並行して、POFが可塑領域になるほどの大きな歪を印加した場合のブリルアン特性について解明する必要がある。
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