研究課題
特別研究員奨励費
本研究で開発した「光学異性体を区別する神経興奮性アミノ酸一斉分析システム」のバリデーションを行った。標品を用いて検量線を作成した結果、D-セリン、D-グルタミン酸およびD-アラニンはインジェクト量あたり1 fmol-5 pmol、L-セリン、L-グルタミン酸、L-アラニンおよびグリシンは、10 fmol-200 pmolの範囲において良好な直線性が得られた。日内・日間再現性および血清試料分析における真度についても良好な結果が得られ、神経興奮性アミノ酸光学異性体が正確に一斉分析可能であることを示した。セリン合成不全症モデルマウスにおける神経興奮性アミノ酸含量解析を行った。その結果、大脳皮質および海馬ではコントロールマウスと比較して欠損マウスにおいて、レセリンやグリシンだけでなくD-セリン含量の激減が認められた。また、血清においても欠損マウスにおいてD-リン含量が有意に低下した。一方D-アラニンおよびレグルタミン酸については、いずれの試料においても有意な含量変化は認められなかった。以上の結果は、D-セリンがセリン合成不全症の病態に関与していることを示している。筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスの大脳皮質、小脳、脳幹および脊髄中の神経興奮性アミノ酸含量を解析した。その結果、発症初期、末期いずれにおいてもコントロールマウスと比較してALSモデルマウスにおいて脊髄中D-セリン含量の増加が認められた。また、発症初期と比較して末期において脊髄中D-セリン含量が有意に増加した。一方、大脳、小脳、脳幹においては、D-セリン含量に有意な差は認められなかった。以上の結果は、D-セリンがALSの発症や病態に関与していることを示唆していると共に、本研究で開発した分析システムが神経変性疾患の診断マーカーや病態関連因子探索に有用であることを示している。
すべて 2012 2011 2010
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (8件)
Amino Acids
巻: 43 号: 5 ページ: 1919-1931
10.1007/s00726-012-1398-4
Journal of Chromatography A
巻: 1269 ページ: 255-261
10.1016/j.chroma.2012.08.075
BUNSEKI KAGAKU
巻: 61 ページ: 489-499
Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis
巻: 69 ページ: 42-49
10.1016/j.jpba.2012.01.041
巻: 43 号: 5 ページ: 1811-1821
10.1007/s00726-012-1384-x
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 109 号: 2 ページ: 627-632
10.1073/pnas.1114639109
巻: (in press)
Journal of Chromatography B
巻: 879 号: 29 ページ: 3184-3189
10.1016/j.jchromb.2010.08.024
巻: 879 号: 29 ページ: 3196-3202
10.1016/j.jchromb.2011.01.023
巻: 879 号: 29 ページ: 3162-3168
10.1016/j.jchromb.2011.06.028
Nature Neuroscience
巻: 14 号: 5 ページ: 603-611
10.1038/nn.2791
Journal of Separation Science
巻: 34 号: 20 ページ: 2847-2853
10.1002/jssc.201100609
巻: In press
The Journal of Biological Chemistry
巻: 285 ページ: 41380-41390